５．黄色の苦労人 ページ17
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今日は図書委員の仕事がある日。と言っても図書室で本を借りる人の対応をするだけ、なのだが……。
「あれ、今日キミ？」
「そっそうです…！」
「あんま見ない顔やね。よろしく〜」
シャオロンさんって方と、一緒なのだ。仕事の担当は基本２人で行うのだが、たまたま彼と被ってしまった。委員会の仕事とか来ないタイプだと勝手に思っていたので意外だった。
それに思ったより──怖い人じゃなさそう？ロボロさんと同じで、私が誤解してるだけかも？
「人全然来ぉへんな」
「で、ですね」
「てかさぁ！キミ誰なん？初めて見たんやけど！」
「ハルキ、です」
「俺はな〜シャオロンっていうで。好きなように呼んでな。あ、シャオロンさんはナシ！ キミはハルキちゃんか……」
まじまじと彼を見る。彼がシャオロンくん…………檸檬色の瞳が綺麗で、少し話した程度だけど明るくて優しくて、これはモテるなあと思う。
名前を伝えたが、私の事は知らないらしい。前に会ったチャラそうなメガネの人が言いふらすから危ないってショッピくんは言ってたけど、彼の心配しすぎだったみたい。
「私シャオロンくんのこと知ってましたけど、聞いた話よりも優しくてビックリしました」
「え、ウソッ？ほんま？全然そんなことないんやけど……」
「こんな私にも優しいですし」
「そりゃあ普通─────っ！！！！」
突然、穏やかなトーンで話していたシャオロンくんが膝から崩れ落ちた。いきなりの事に私は呆然としてしまう。
さっきまで特に変な所は無かったのに、彼は手を床について、肩で息をしている。慌てて声をかけても、話せる余裕がないのか荒い呼吸が聞こえるだけ。
急にどうしたの？ 今の私には声をかける事しかできない。
近くに駆け寄ると、苦しそうな顔をしたシャオロンくんの檸檬色の瞳に、私が写った。
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作者名：かえち
| 作成日時：2023年3月1日 20時
