二兎追うものは一兎も得ず２【灰谷兄弟】 (ページ8)

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四十八話ページ8

　
　
　
　
───────入院してあれから数週間後。

「 Aおはよう」

「おはようございます！」

無事に職場復帰を成し遂げた私はいつもと変わらない交番警察官をしていた。

数週間で退院し、念の為と職場復帰は更に数日後。

約2週間程の安静期間を経て、現在六本木交番の受付を担当中…という訳だ。

「( 街の人達からも心配の声を頂いちゃってたな。

　何か凄い情けない警察官になっちゃってる気が……… )」

「おまわりさんや…ちょっと、いいかい？」

「あ、はいッ！！どうかされましたか？」

数週間前の出来事。

どうして彼等は私の事を傷付けて行ったのか。

あの時、蘭くんが"邪魔されたくない"って言っていた気がする

君達の生き方とか進む道とか、私が別に関わるべき事じゃないけど。

「( ……君達が心配で心配で……仕方が無いの

　今までの、君達を見てきて、……もう会うなとか言われても。

　そんなの無理だよ )」

「おまわりさん…六本木駅はどっちだい…？」

「え、あ、六本木駅！！六本木駅はここをー…… 」

京浜運河での出来事、六本木通り、六本木広場、───────

君達が持つ"悩み"に"苦しみ"を吐き出してくれた

　

『 "女は女"だ。お姉さんもその気にされれば

　俺らに身を寄越してしまうと思ったのに』

『俺、お姉さんのそーいうところ、すげぇ好き

　……"もう1回"、惚れ直してもイイ？』

蘭くん。

『喧嘩でも何でも…兄貴に良い所持ってかれて、

　いつも俺の出番が無くなっていく。

　……別に気にしてはいなかったんだけどな』

『お姉さんが兄貴に持ってかれるのが

　1番見るに堪られなかった』

竜胆くん。

悩みなんて無さそうに、平然と犯行を繰り返している悪童と思っていたのに。

…彼等に関わりたい。関わりの無い日々は、とてもつまらない

─────────『約束、したからな』

「 ………………………あ」

六本木ヒルズ展望台で竜胆くんが言っていた言葉。

思い出した途端、私はその場で立ち上がり一目散に外へ飛び出す

「うわ、A？何処行くの？」

「あ、先輩！おばあちゃんの相手お願いします！！」

「え、え！？」

通りすがりの先輩に仕事を託し、私は行く宛て知らずに駆け出した。