二兎追うものは一兎も得ず２【灰谷兄弟】 (ページ5)

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四十五話ページ5

　
　
　
　
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『俺と兄貴は縛られている』

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「誰にも、砕く事が出来ない………硬い鎖に」

カチャリ、と小皿が重なり合う音と同時に私は小さく呟いた

先日、1月1日

六本木ヒルズ展望台にて竜胆くんは意味深な事を発言していた。

あの時、彼を笑わせたくてあんな事言っちゃったけど実際、意味が分からなかった

あの破天荒過ぎる2人が逆らえない程強い鎖があるということ？

1度逮捕された2人よりも上の存在

「( 警察でも手に負えないんじゃ……！？ )」

2人を捕まれるだけでも一苦労するのに、その更に上となれば一苦労どころじゃない

竜胆くんはあの言葉以外何も言っていなかった

欲しい情報、"場所、時間、誰が"

"あの時"、竜胆くんは何を訴えていたんだ？

『それをお姉さんがぶち壊してくれ』

何かを暗示するもの？

シングルレバーを閉め、濡れた手を布巾で拭き取る

やけに冷たい手

お湯を使った筈なのにどうしてか嫌な冷たさを感じる

「( ……どうして、私なんかに頼んだのかな )」

そんな事を思っていた時、部屋にチャイムの音が鳴り響いた

先輩でも遊びに来たのだろうか

私は布巾を机に置き、「はーい」と声を掛け扉を開けた

「あ、ほ〜ら大当たり」

「うわ、マジかよ兄貴」

ケラケラと笑い合う2人の姿に私は思わず硬直してしまった

ずい、と三つ編みの青年が私の顔を覗き込み頭部に手を乗せてきた

「 ……へ、何でッ、……何で家知って……！？」

「ん〜、秘密♡ お姉さん久々ぁ〜〜」

「先日振り」

ギュゥ、とキツく抱き締めて来た三つ編みの青年、蘭くん

手を振るのはお馴染み丸眼鏡の青年、竜胆くん

「く、苦し"……ッ」

「兄貴、締めすぎ」

「えぇー最後のご褒美じゃん

　少しだけ堪能させろよ、ドケチりーんど」

髪型は変わらない彼らだが、どうしてか"ある場所"だけは違和感を感じた

変わった黒い布地のもの

前の様にふんわりと香る血腥い匂い

「 ……ッ、お揃いの格好、ですか？」

その言葉をかけた瞬間、謎に2人は静まり返った。