二十九話 ページ36
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雨が止んだ数時間後
私は竜胆くんと別れ、六本木の広場に訪れていた
此処は初めて2人と出逢った場所
5年前といっても、記憶は繊細に覚えている
「 ……う、寒 」
夕方に吹く風は数時間前と打って変わって肌寒い
厚着で来なかった罰なのだろうか
息を1つ吐くと、白い煙が宙に浮かび上がる
「 蘭くん 」
思わず、彼の名前すらも吐いてしまった
数時間前、竜胆くんは非常に焦った様子だったのを思い出す
────────
『 おねーさんが居なくなったあの後、
俺らはあのホテルで1泊した。
まぁ、基俺らの部屋…って感じなんだけど。
……でも次の日、俺が起きた時にはもう、
兄貴は居なかった。午前5時、朝っぱらだ 』
────────
午前5時といえば私も起床した時間帯だ
その頃には姿が無かったとなれば、その前の時間にホテルから出ていったと予想がつく
「( 周りには蘭くんが着ていた服が
置いていったと言ってたけど…………
まさか全裸で飛び出したとかは無いよね… )」
顎に手を当て、小さく苦笑してしまう
そんな事をすれば今まさに公然わいせつ罪で逮捕されてる頃だ。
なんて面白可笑しく想像していれば、不意に下へ視線を送る
アスファルトの窪みに溜まっている水溜まりに自分の姿が映っていた
「 ……ははっ、何か年取ったなぁ 」
5年前の自分の容貌を思い出せば、水溜まりに映る自分はかなり年を取っている
最近、自分の頬はやたらとカサつくし
潤いは残念ながら無いし。
ふとそんな事を考えていると、飛び交う鳥達が一斉に鳴き始めた
異様な鳴き声
何処か不気味な、恐ろしさを生むような、そんな鳴き声で飛び交う鳥達
私はその鳥達の様子を眺めていた
その時
───────ガゴッッン"!
一瞬の内に鳥達は散らばり、姿を消す
それと同時に頭をかち割る様な、鈍い音が広場内近くで脳に響いた
嫌な、音
無意識に動いていた足取りは止まらず、ただ一直線に進んでいた
立ち止まると雫の落ちる音、周りには飛び交う血
それは正に、先程の鳥達の様に飛び散っていた
「 ………………蘭くん? 」
目の前の彼に、そっと声を掛ける
血塗れの彼
目の前で立ち尽くす青年は、生気の無い瞳で私を見詰めていた。
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虹霓(プロフ) - めっちゃめちゃすきです!!灰谷兄弟はツンデレのようでメンヘラな姿がありありと描かれてて、何度も読み直しちゃいます笑 でも笑笑ほんとに笑警察官のはずの夢主ちゃんが武道とかで抵抗しなさすぎて違和感が笑笑 (2021年8月30日 22時) (レス) id: 88a4231c2f (このIDを非表示/違反報告)
音楼ぽた子(プロフ) - 水誓 凪鴉@熟慮の精神さん» 水誓 凪鴉@熟慮の精神さん初めまして!閲覧感謝致します…!灰谷兄弟良いですよねッッ……今後も更新していきますのでお楽しみに!!コメント有難う御座いました!! (2021年8月17日 14時) (レス) id: 9ca22e9d1b (このIDを非表示/違反報告)
水誓 凪鴉@熟慮の精神(プロフ) - 初めて拝見したのですが面白いし内容がスッ...って入ってくるのですぐに読み終えることが出来ました...!めちゃくちゃ面白いです、灰谷兄弟が良い...これからも楽しみにしていますね...!!! (2021年8月17日 4時) (レス) id: 5d0d0234c6 (このIDを非表示/違反報告)
音楼ぽた子(プロフ) - 狼君さん» 狼さん初めまして!コメント有難う御座います!!いや、本当に神ですよね…灰谷兄弟の事なら何時間も語れますよ私……ッ、作品ご愛読感謝です!!今後の展開をお楽しみに…! (2021年8月6日 19時) (レス) id: 9ca22e9d1b (このIDを非表示/違反報告)
狼君(プロフ) - はじめまして〜いつも楽しみに待たせてもらってます狼です。m(*_ _)m、灰谷兄弟ってまじ神ですよね。(独り言)いつも楽しみに待たせてもらってます。更新頑張ってくださいっ!! (2021年8月6日 12時) (レス) id: 47568ac0de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音楼ぽた子 | 作成日時:2021年7月27日 1時