ep.196 正念場 ページ43
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「フロイド……？」
少し痛いくらいに強く手を握り締めてくる彼に、自分は戸惑いの表情を見せる。
「小エビちゃん。」
「……なに？」
「約束して。」
「？」
「なにがあっても、絶対にオレの手を離さないって。」
「え……離さないよ。わかってるって。何でそんなまた改まって。」
「小エビちゃん覚えてる？影の呪いって言ったやつ。」
影の呪い……確かフロイドが階段登り始める前の時にそんなことを言ってたな。
自分がこの世界を出ようとすると、影の呪いが邪魔をしてくるって。
「うん、覚えてるよ。」
「それ、たぶんこっからの話。」
「えっ、それってこの穴入ったら影の呪いが始まるってこと？」
「うん。オレもどんなんか詳しくはわかんないんだけど、とにかく危険なんだって。」
「危険……かぁ。」
「ちなみに、万が一影の呪いに邪魔されて小エビちゃんがオレの手を離しちゃうと、虚無の世界に戻されるどころか永遠に異世界の狭間を彷徨うことになるかもだって。」
「は！？今さらっとかなり怖いこと言った！？」
「言ったー。だから絶対離さないでね。」
「わ、わかったよ！絶対絶対離さない！」
「うん、いい子。じゃあ準備はいい？」
「大丈夫……！」
自分がそう返事をすると、フロイドはその場から軽く飛び跳ねた。
すると彼の体は急に消え、繋がれた自分の左腕も順に透明になりだす。
そのまま頭も消え始めたかと思ったら、突然真っ黒な空間が現れた。
「うわ！なにここ！？」
「あ、小エビちゃんも無事穴くぐれたみたいだねー。」
「フロイド！よかった、消えてなくて！」
自分はフロイドの温もりを感じる手と声に安堵の溜息を漏らす。
「とはいえ、ここからが正念場だもんね。気を抜かずにいないと。」
「…………。」
「フロイド？」
「…………。」
急に黙りこくってしまったフロイドに、自分は眉をしかめる。
もしかして、何か彼の機嫌を損ねることでも言ってしまっただろうか……。
自分は彼の後頭部を見つめ、もう一度名前を呼ぶ。
「ねぇ、フロイドってば。何で急に黙っちゃったの？」
「……あ゛…。」
フロイドはゆっくりと自分の方へと振り返る。
「ヒッ！！？？」
振り向いた彼の顔は……いつの間にかドロドロに溶けた酷い姿をしていた。
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鏡の使い - マナさん» ありがとうございます！そう言って頂けるととても励みになります！頑張りますので、最後まで楽しんで読んで頂けたら幸いです！ (2020年9月1日 3時) (
レス) id: 2239b72fc2 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - ものすごく面白いです…！物語の構成がしっかりしてて読みやすく続きが気になる話でした！！これからも応援してます！頑張ってください！ (2020年9月1日 0時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡の精 | 作成日時：2020年8月26日 14時
