ep.156 説教 ページ12
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「あ、てか、それかもしれないです。グリムが元気ないの。」
「え？」
スリート先輩は疑問を浮かべた表情で自分を見る。
「いや、グリムの奴、先輩のこと大好きなんできっと寂しいんですよ。前も先輩がもうすぐ卒業するって話したら落ち込んでて。」
「えっ！？そういうことなの！？」
「まぁ確かに思い詰め方がちょっと異常な気もするんで心配ですけど……。でも本当寂しいだけだと思いますよ。」
「な……なんか、それだとちょっと嬉しいな。グリム君、俺のことそんな風に思ってくれてたなんて。」
「ああ見えてスリート先輩にはめっちゃ感謝してると思います。だから明日の卒業式、グリムもしかしたら大泣きするかもですね。」
「えぇ！俺の為にグリム君が泣いてくれたら、憂鬱だった卒業式も最高に変わるよ！」
そこで自分はピタリと止まる。
「憂鬱……なんですか？明日の卒業式。」
「え？あぁ……うん、まあね。」
「グリムが言ってました。先輩が卒業を嫌がってるって。大魔法士になる夢を捨て、したくもない仕事をして大人になるのが辛いって。」
「あはは……話されてたか。うん。実は結構悩んでる。でもまあ受け入れてもいるよ。仕方ないしね。」
「難しい……話ですよね。」
「ん？」
「大人になりたくない気持ちも、大人にならなきゃいけないってことも、どっちもよくわかりますから。」
「……うん。」
「それでも、人は成長するものです。自分はみんな、ちゃんと大人になるべきだと思います。
汚い大人も不自由な大人も色々いると思いますが、それは自分の意志次第だと思うんです。」
「A君……。」
「自分の意志さえ強く持っていれば、子供も大人も関係ないですよ。大人という偏見で未来に怯えちゃダメです。
スリート先輩はスリート先輩なんですから。」
「……！」
「だいたい、仕事も嫌ならやめちゃってもいいと思いますよ。やりたいことに挑戦してみるのも全然アリだと思いますし。意外となんとかなりますよ。」
「A君……なんか。」
「ハッ……！すいません……！1年のくせになんかすげー生意気な事を……っ！」
「いや、違うんだ！なんていうか……凄いね君は。」
「え……？」
「心が軽くなったよ。ありがとう。」
そう言うとスリート先輩は吹っ切れたように微笑む。
彼の目には、先程までにはなかった生き生きとした光が宿っていた。
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鏡の使い - マナさん» ありがとうございます！そう言って頂けるととても励みになります！頑張りますので、最後まで楽しんで読んで頂けたら幸いです！ (2020年9月1日 3時) (
レス) id: 2239b72fc2 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - ものすごく面白いです…！物語の構成がしっかりしてて読みやすく続きが気になる話でした！！これからも応援してます！頑張ってください！ (2020年9月1日 0時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡の精 | 作成日時：2020年8月26日 14時
