コットンキャンディ 3 ページ34
.
Y
皮肉なことにこうなってからの方が素直に俺を頼ってくれている。
腕の中で子供のようにあどけない顔で穏やかな寝息を立てる太輔を大切に大切にそっと抱き寄せる。
「ん…わたぁ…」
甘えるように擦寄る仕草が愛しくて静かに綺麗な額に唇を寄せた。
翌朝
目を覚ますと昨夜と変わらず腕の中で静かに眠る太輔
幾分顔色も良くなって、今日は少しボリュームのあるものでも作ってやろうかな…なんて思いながら太輔を起こさないように体を離してベッドを抜け出す。
「…た、…」
身支度をしてキッチンで朝食の準備をし終えたとき背後から微かな声がして振り返る。
「あ、おはよ太輔」
そう挨拶するとポスっと抱きついてくるその温もりに思わず頬が緩んだ。
「フラフラしない？」
まだおぼつかない足取りの太輔を支えてゆっくりソファーに連れていく。
「今日は雑炊作ったから今持ってくるね」
ソファーに座らせてからキッチンに再び戻って我ながら美味しそうな香りの湯気を立てる雑炊を器に盛り付けて太輔のところへ運ぶ。
「はい、おまたせ〜熱いからゆっくりね」
小鉢に取り分けた雑炊をレンゲですくってフーフーと冷ましてから太輔の口元へ持っていくと素直に口が開いた。
「どう？食べられそう？」
コクリ
俺の問いかけに頷く太輔の顔はだいぶ普段の血色を取り戻していた。
根気良く食べさせると「もう…いっぱい…」と小さな声が聞こえたのを合図に食器をテーブルに置いた。
「たくさん食べられたね。よかった」
「わた…」
「ん？」
「ありがと…」
そう言ってわずかに頬を緩めたその表情に安堵を覚えながら「どういたしまして」と答えるとおずおずと腕が伸びてきて首筋に回された。
「寒い？」
「うんん…」
「今日は何しよっか？」
太輔を抱き寄せて膝に乗せながら問いかけると
「ずっと、いっしょ…？」
「うん、一緒だよ」
そう答えたら、まだぎこちないけどその顔にふんわりと笑みが浮かんだ。
数日ぶりに見る太輔の笑顔
何にも代えがたい大切なものがようやく帰って来つつあることに不意に涙腺が緩んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 323人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美結(プロフ) - 完結おめでとうございます ! お疲れ様でした ! 最初は切なくて切なくて胸が張り裂けそうでしたが、だんだんと甘くなっていく二人にドキドキでした。最後は幸せになってくれて良かったです ! いってきますのキスに胸きゅんな終わり方、ありがとうございます(*^_^*) (2016年1月2日 21時) (
レス) id: 5cd71a055a (このIDを非表示/違反報告)
野菜(プロフ) - 完結おめでとうございます、お疲れ様でした！２人が幸せになって本当に良かったー！ヽ(；▽；)ノ想い違い、すれ違い、素直に言葉に出来ない2人を見る度に、やるせない気持ちに身悶えて壁に頭をガンガン打ち付けていましたが、これで安心して眠れます｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2016年1月2日 18時) (レス) id: 5164ca8059 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハラハラドキドキなんでそこで素直になんないの！ってやきもきしながら読み続けて良かったです。これからもちょっといじわるな所もある渉さんに振り回されながらも幸せになって欲しいです。(*≧艸≦) (2016年1月2日 12時) (レス) id: cdf6ae2f76 (このIDを非表示/違反報告)
とみぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！無事、二人とも幸せになることができ、良かったです( ^ω^ )ハラハラしながらどうなるのか、楽しかったです。 (2016年1月2日 12時) (レス) id: 2539a7cb49 (このIDを非表示/違反報告)
かやたび(プロフ) - お疲れさまです！ゆっくりと解けるように近くなっていく二人を見守ってきて良かった…そう思います。辛抱強いくせにちょっと意地悪なラストの渉さんが…大好きでした。ありがとうございました。 (2016年1月2日 12時) (レス) id: 8d7da4828d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：you
| 作成日時：2015年4月13日 23時
