守りたかったもの 4 ページ30
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翌日往診を終えて熱は下がったからお風呂に入ってもいいって許可が医者から下りた。
でも、もちろん1人で入れる訳もなくて俺が入れてやる事にした。
「太輔〜お風呂入ろうね」
お湯を張って温めておいたバスルームへと太輔を抱き上げて連れて行く。
「久しぶりだから気持ちいいだろ?熱くない?」
バブルバスにしたバスタブに浸からせてゆっくりとお湯を掛けてやりながら尋ねれば緩く首が左右に振られた。
「そのまま浸かっててね。髪の毛洗ってあげるね」
バスタブの淵に首をかけるようにして丁寧に髪を洗ってやる。
「気持ち悪かったりしない?」
返事をするようにゆっくりと瞼が開閉するのを見ながらすすぎまで済ませて
「はい、終わったよ。もうちょっと温まったら出ようね」
自分もざっと洗って太輔を後ろから抱きかかえるようにしてバスタブに浸かる。
「もうちょっと元気になったらどこか出掛けようか?どこがいい?海がいいかなぁ〜買い物もいいけど人混みは疲れちゃうからまた今度な?」
「…わ、た」
「ん?何?」
俺の問いかけには答えずに身体を反転させた太輔がぎゅっとしがみついてくる。
「どうしたぁ〜?」
シャンプー後の濡れた髪を梳いてやりながら顔を覗き込めば泣きそうな顔
また何か不安になってるの?
「さて、のぼせる前に出ようね」
つとめて明るく言ってバスタブから出て太輔を抱き上げる。
「掴まっててね」
自分に掴まらせて身体に付いた泡を一緒に流してバスルームから出た。
太輔愛用のモコモコしたルームウェアを着せて再び抱き上げてリビングへと運ぶ。
「今日はねぇ茶碗蒸し作ったよ。具は少なめだからつるっと食べられるハズ」
キッチンに茶碗蒸しと貝柱のおかゆを取りに行く。
「はい、どーぞ?」
太輔の隣に座って根気よく口元に運ぶとゆっくりだがここに来て最初にスープを飲ませた時とは格段に量を食べられるようになっていた。
「よかった、たくさん食べられるようになって来たね。普通のもの食べられるようになったら太輔の大好きなオムライス作ってあげるね♪」
「…っ!!」
「太輔?」
「や、だ…っ…」
それまで穏やかだった表情が急に曇ってその瞳から一気に涙が零れ落ちた。
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美結(プロフ) - 完結おめでとうございます ! お疲れ様でした ! 最初は切なくて切なくて胸が張り裂けそうでしたが、だんだんと甘くなっていく二人にドキドキでした。最後は幸せになってくれて良かったです ! いってきますのキスに胸きゅんな終わり方、ありがとうございます(*^_^*) (2016年1月2日 21時) (レス) id: 5cd71a055a (このIDを非表示/違反報告)
野菜(プロフ) - 完結おめでとうございます、お疲れ様でした!2人が幸せになって本当に良かったー!ヽ(;▽;)ノ想い違い、すれ違い、素直に言葉に出来ない2人を見る度に、やるせない気持ちに身悶えて壁に頭をガンガン打ち付けていましたが、これで安心して眠れます。゚(゚´Д`゚)゚。 (2016年1月2日 18時) (レス) id: 5164ca8059 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハラハラドキドキなんでそこで素直になんないの!ってやきもきしながら読み続けて良かったです。これからもちょっといじわるな所もある渉さんに振り回されながらも幸せになって欲しいです。(*≧艸≦) (2016年1月2日 12時) (レス) id: cdf6ae2f76 (このIDを非表示/違反報告)
とみぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます!無事、二人とも幸せになることができ、良かったです( ^ω^ )ハラハラしながらどうなるのか、楽しかったです。 (2016年1月2日 12時) (レス) id: 2539a7cb49 (このIDを非表示/違反報告)
かやたび(プロフ) - お疲れさまです!ゆっくりと解けるように近くなっていく二人を見守ってきて良かった…そう思います。辛抱強いくせにちょっと意地悪なラストの渉さんが…大好きでした。ありがとうございました。 (2016年1月2日 12時) (レス) id: 8d7da4828d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:you | 作成日時:2015年4月13日 23時