守りたかったもの 2 ページ28
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一番守りたかったものがキミから消えた
その日の夕方ようやく目を覚ました太輔はボンヤリと焦点の合わない目でまず最初に目に入ったであろう俺をじっと見つめた。
「太輔…?」
恐る恐る声掛けても反応は無い。
「どこか辛いところはない?もう一回体拭いてパジャマ着替えようか」
返事がないことに戸惑いつつも新しいパジャマに着替えさせようとベッドを離れようとした。
「……か、ないで…」
弱々しい力で握られる手に動きが制される。
「大丈夫、どこにも行かないよ」
ポンポンと空いていた手で太輔の手の甲を撫でるとスッと解放された。
「ずっとお風呂入ってないから気持ち悪いだろうけどもうちょっと我慢な?あ、そうだ消化良さそうなスープ作ったけど食べる?薬も飲まなきゃだし」
体を拭いて着替えさせ終えてからクッションを背凭れのして太輔の体を起こして一緒に持ってきた温め直した野菜ピューレのスープの入った皿を見せる。
「あ、そっか…手動かしたら痛いよね?」
太輔の隣に横座りしてスプーンで掬ったスープを口元へと運ぶ。
「食べられるだけでいいからね?」
ゆっくりと一口、二口と口に含む太輔に安堵しながら根気よく飲ませてやると少しだけ生気の戻った顔色になった。
「わた、る…」
「ん?」
薬を飲ませ終わったと思ったら表情の無い顔で俺の名前を呼ぶ太輔に向き直る。
「大丈夫、ずっとそばにいるから…今はゆっくり休んでね」
背中に手を回してクッションを抜き取って再びベッドに寝かしつけた。
「傷痛くない?どこか辛いところない?」
俺の問いかけに遠くを見つめるような目をして緩く首を振る太輔
「そっか、よかった」
本当は全然良くなかった
俺が一番守りたかった太輔の笑顔がそこから消えた
でも今は太輔のそばにいるしかない
それが俺に出来る唯一のことだから
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美結(プロフ) - 完結おめでとうございます ! お疲れ様でした ! 最初は切なくて切なくて胸が張り裂けそうでしたが、だんだんと甘くなっていく二人にドキドキでした。最後は幸せになってくれて良かったです ! いってきますのキスに胸きゅんな終わり方、ありがとうございます(*^_^*) (2016年1月2日 21時) (レス) id: 5cd71a055a (このIDを非表示/違反報告)
野菜(プロフ) - 完結おめでとうございます、お疲れ様でした!2人が幸せになって本当に良かったー!ヽ(;▽;)ノ想い違い、すれ違い、素直に言葉に出来ない2人を見る度に、やるせない気持ちに身悶えて壁に頭をガンガン打ち付けていましたが、これで安心して眠れます。゚(゚´Д`゚)゚。 (2016年1月2日 18時) (レス) id: 5164ca8059 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハラハラドキドキなんでそこで素直になんないの!ってやきもきしながら読み続けて良かったです。これからもちょっといじわるな所もある渉さんに振り回されながらも幸せになって欲しいです。(*≧艸≦) (2016年1月2日 12時) (レス) id: cdf6ae2f76 (このIDを非表示/違反報告)
とみぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます!無事、二人とも幸せになることができ、良かったです( ^ω^ )ハラハラしながらどうなるのか、楽しかったです。 (2016年1月2日 12時) (レス) id: 2539a7cb49 (このIDを非表示/違反報告)
かやたび(プロフ) - お疲れさまです!ゆっくりと解けるように近くなっていく二人を見守ってきて良かった…そう思います。辛抱強いくせにちょっと意地悪なラストの渉さんが…大好きでした。ありがとうございました。 (2016年1月2日 12時) (レス) id: 8d7da4828d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:you | 作成日時:2015年4月13日 23時