With you -YF-

境界線 6 ページ26

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Y


ガシャーン！！


しばらく太輔の寝顔を見守った後、目が覚めた時に食べられそうなものでも作ってやろうと思い立ってキッチンで調理をしていたら派手な破壊音が聞こえて慌てて寝室に駆け寄りドアを開けた。


「太輔っ！！」

倒れたフロアスタンドとその脇に蹲る太輔の腕から流れる赤い血に動揺する


「太輔っ！太輔っ！」

いつかのテレビ番組で見た止血の方法を必死に思い出して見よう見真似で施してポケットからスマホを取り出してチーフマネージャーに電話をする。


「横尾ですっ！藤ヶ谷が倒れて…はいっ、わかりました。じゃあ待ってます」

救急車を呼ぼうかとも思ったが職業柄騒ぎになって後々太輔が困ることになってもいけないと咄嗟に判断してとりあえずウチのグループのチーフマネージャーに連絡したのは正解だったようだ。電話に出た相手にすぐに医者を手配して連れて行くからと言われた。

医者とチーフが来るまでに自分に出来ることは何か
落ち着きを取り戻そうと深呼吸してから考える。


ぐったりとしている太輔を抱き上げてベッドの上に寝かせて腕が下がらないようにクッションの上に傷を負った方の腕を乗せて固定してから散らばった電球の破片を片付けているとインターフォンが鳴った。


連れてこられた医者による診察と処置をチーフマネージャーの隣で見守る。


「横尾、どうしてこうなったかは藤ヶ谷が回復してからゆっくり聞く」

「はい」

「それまで藤ヶ谷についててやってくれるか？」

「俺でよければ…」

「あぁ、お前たち2人のスケジュール調整するから。実は会社の人間じゃ藤ヶ谷が受け入れてくれなくていつ横尾に連絡しようか迷ってたんだ。」

「え…」

「様子を見に来てもお前の名前しか言わなくてな…」

そこまで話していた時に医者の処置が終わり、怪我の状態とそもそもの病状の説明があった。


怪我の方は幸い出血の割にそんなに深く無くて縫合の必要もなく多分傷跡もそんなに残らないだろうとのことだった。初期対応が良かったからですねなんて言われて一瞬安堵しかけたが、それより…と表情を曇らせた医者にそもそもの病状の方が深刻だと告げられた。


『かなり体力の衰弱が進んでます』


点滴と栄養剤の注射をしたとのことだったがしばらく毎日往診に来るとのことで今後の注意事項と幾つかの飲み薬と一緒に病院の連絡先の番号を受け取った。




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