飛び降りた先に見たものは

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「……そうだったのか。それは……辛かったな」

「過去のことまで話してくれてありがとうA」

死にたいと思うようになったことも、レムレスを疑ってしまっていたことも。全部話して、それでも尚2人は私に寄り添ってくれる。

私はこの世界でいい人達と巡り会えたんだ。
昔のことも否定せず、疑ってしまった私のことも否定せず、受け止めてくれる。

「過去は過去で、今は今だから前を向いて……なんて言うつもりは無いけど、ここには君を傷つける人はいないよ。少なくとも僕達はね」

「一緒にするな……と言いたいところだが、まぁ今回ばかりは彗星の魔導師の言う通りだ」

やっぱり2人は優しい。2人の言葉に何度も頷いた。





「それでこれからのことなんだけど」

レムレスが口を開いた。

「Aにどんなことがあって、どういうトラウマがあってここまで来たのかはわかったけど、別に今までの生活を変える必要はないと思うんだ。今のAの心に必要なのは休息だから、この1ヶ月半と変わらずのんびり過ごせばいいと思うんだけど……」

「うん、そうだね。……レムレス、シェゾ、これからもよろしくお願いします」


そうしてまた朝起きてレムレスとお菓子を作り、みんなに配り歩いて時々ぷよ勝負をする、いつもの生活に戻った。

そうそう、フェーリとの関係も誤解が解けたのかなかなか良好になった。


そんな生活に戻ったのだが。




約束の日から数えて3ヵ月目だろうか。




変わった点が1つある。




レムレスと話したり、たまたま手が触れてしまった時にどうも心臓がうるさくなるようになった。





(いやいや有り得ない、まさかレムレスのこと……いやいやいやいや………。……もしこの気持ちが本当ならまたフェーリと仲良く出来なくなるのかな……？)


意識し始めた心当たりがあるようなないような。


いや確実にある。思い出したくないけれどあのことがきっかけだ。

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