Snow Moon (ページ16)

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ある日の帰り道ページ16

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『お疲れ様でしたー。』

某所での撮影を終えマネージャーさんに送られて家の近くのコンビニで降りる。

飲み物を買って帰ろうかなー。とコンビニに入れば見慣れた人影を発見した。

ゆっくりと近づいて肩を叩けば振り返る彼。

「なんだよAか。」

私だと分かった途端に脱力する。ファンの子だったらどうしてたんだろ。って気になったけどまあ気にしない。

『蓮も今帰り？』

「そう。Aも？」

『うん。飲み物買おうかなーと思ったらいたから声掛けてみた。』

「…お前こっから一人で歩いて帰るつもりだったの？」

『や、あの、ね。うん。だってここから家近いし、ね！』

「ね！じゃないから。お前本当さ。」

『良いじゃん。蓮いるんだし。』

「たまたまだろ。」

そんな事を言いながら睨んでくるけど気にしない。だって私は今真剣に何を買うかで悩んでいるのだ。ゆずはちみつソーダにするかオレンジジュースにするか。んー。悩ましい。

ようやく決めたゆずはちみつソーダを取り出せばそれは呆気なく蓮に奪われる。

そのままパッとお会計をされコンビニを出るから慌てて追いかける。

昔からこうだ。彼は私と一緒にいる時は私に一銭も払わせない。

昔はよくこの事で喧嘩したけれど、ここ数年はもうない。彼が払ってくれる。私は料理やプレゼントで恩を返す。

それが私たちの暗黙の約束なのだ。

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