自然と（side 柳） ページ49
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「……あ、」
「八神…」
「やぁ八神さん！おはよう」
「おはよう」
「…おはよ」
八神と話した日の翌日。朝練を終え、精市と弦一郎と共に教室へと向かう途中、丁度登校してきた八神と鉢合わせた。精市と弦一郎が挨拶をする中、俺は彼女の顔を見た途端すっかり出遅れてしまった。ここ最近避けられてばかりで合わなかった視線が、久々に彼女から合ったのだ。昨日は俺から無理矢理合わせに行ったのでカウントはしない。
「この時間にまだ教室にいないとは、珍しいな」
「あぁ、ちょっと寝ぼ……支度に時間がかかりまして…」
「本当は？」
「寝坊しました」
「寝坊だと…たるんどる！」
「間に合ったんだから許してよ風紀委員さん。つか、あんたも悪ノリしないでくれる？」
「ふふっ、誤魔化しきれてないのが面白くてつい」
目の前の会話の内容は耳に入ってくるが、思考はすっかり止まっていた。会話に入るタイミングもかける言葉も見失い、3人の会話を呆然と眺めていた。そんな俺の様子に気付いた八神がまた視線を合わせてきた。
「柳、」
「･･･」
「おはよ」
視線を合わせながらポツリと発したその言葉は、周りの雑音も気にならないくらいスッと俺の中に入ってきた。昨日まで俺も悩んでいたし、彼女も俺からの質問で悩んでいただろう。だが、質問の答えを聞かずとも、その言葉だけで俺は満足してしまった。
「おはよう」
笑みを含めながらそう返すと、彼女のいつもの無表情は少しすっきりしたような表情へと変わった。気付けば俺達は共に教室へと向かっていた。
「む、もうこんな時間だ。急ぐぞ」
「まだ5分あるんだから間に合うでしょ」
「馬鹿者、一瞬の気の緩みが徒となるぞ」
「でも、4人揃って遅刻っていうのも楽しそうだね」
「アンタは楽しければなんでもいいのか･･･」
「これが精市なんだ。諦めろ」
俺と幸村で笑い、弦一郎は苦い顔をし、八神は無表情のままだが心なしか口元が緩んでいたのを見逃さなかった。今日、質問の答えは貰えるのだろうか？満足感を覚えたとしても、やはり彼女の考えが気になるところだ。借りた本はまだ読み終わっていないので、本を持って図書室に行こう。必ず彼女はカウンターか窓側のテーブルにいる筈だ。
「(八神･･･やはりおまえは興味深い)」
会って間もない俺達を引き合わせ、こうやって俺達の中に存在を残していく。その存在は決して嫌なものではなく、驚くほど自然に出来上がった関係。
(無意識に揃う足並み)
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otohsun08050054(プロフ) - ヤバい！めちゃくちゃ面白いのですが！もっと早くこの作品に出逢いたかった(>_<) (2020年7月28日 9時) (
レス) id: 736f999e12 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - もんたろさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉をいただき感激です…！不定期更新ではありますが、完結までお付き合いいただけると幸いです(´ｰ｀*) (2017年12月2日 0時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
もんたろ(プロフ) - テニス部の私生活？って言うんでしょうか…それがなんだか自然体って感じですごく好きです。登場人物達の雰囲気が皆やわらかくて読んでいてほっこりします。更新頑張ってください！ (2017年12月1日 23時) (レス) id: 47cdc4e065 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - 和堂 桜さん» コメントありがとうごさいます！1つの話で詰め込みたい内容が多すぎて今みたいな感じになっております…。アドバイスいただいた内容を参考にしながら徐々に改善していこうと思います！ご指摘ありがとうございました(´ｰ｀*) (2017年11月26日 1時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
和堂 桜(プロフ) - 内容は魅力的なんですが・・最初の方から、「」以外の説明？みたいなところが文字がつながりすぎて読みにくいです・・。改行？とか空白を多くすると読みやすくなるかと・・すみません！！もったいないなーと思いまして！！ (2017年11月25日 20時) (レス) id: 5cbf3e7e7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渡邊 | 作成日時：2017年10月6日 18時
