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・
『ワンちゃん...』
そう零せばワンちゃんは嬉しそうに私の前へ回り込んで顔を舐めまわす。
『あ、ちょっと、ん〜〜〜！！』
sm「やっぱりな。お前、こいつとどこで知り合った？」
未だワンちゃんからの猛攻を受けてる私を他所に彼は疑問を投げつける。
待て待て。喋れるかこんな状況で。
助けを求めて目で訴える。バチッとぶつかった視線の先でその菫色は細く歪む。
つり上がった口の端は嘲笑をありありと伝えてきて、この人からの助けは望めないということを悟った。
さっきの仕返しか。
強く睨んでもそれは彼をさらに喜ばせる材料でしかなく、愉快そうに笑みを浮かべるスマイル様はただこの状況の傍観者に徹していた。
飼い主からの助けが得られないのであれば自分でどうにかするか。
衰えることを知らないワンちゃんの猛攻を顔を横に振って避ける。
両手を顔の前にかざしてもその手すら舐められてしまうが、口は使えるようになった。
『待て』
一段低くした声を聞いて白い犬はその動きをピタリと止める。
『座れ』
微かな興奮を残しているものの、ワンちゃんは素直に腰を下ろした。
立ち上がりスカートを数度叩いて身なりを整える。スマイル様へ向き直ると彼は先ほどの嘲笑を取り消していつも通りの落ち着いた顔に戻っていた。
『それで、なんでしたっけ？』
勝ち誇ったように笑顔を向ければつまらなそうに息を吐いて肩を下げる。
sm「分かってるだろうがコイツは俺の飼い犬だ。
君主以外には何をしても懐かないように訓練をしている。だが、な、お前はコイツを従わせている。どういうことだ？」
スマイル様の視線の先には一匹の犬。
私たちの間に流れる空気感を察したのかワンちゃんは不安げな顔をしている。
軽く頭を撫でてから頭の中で言葉を整理し、再び彼に視線を戻した。
『2年前。この子、酷い怪我をしたことはありませんでしたか？』
視線がこちらに向く。
『本当に偶然です。怪我を負ってボロボロになったこの子がうちの前を横切りましたので手当てをしたことが最初ですね。完治するまで面倒を見て、それから偶に遊びに来てくれるようになりました。まさかスマイル様のところのワンちゃんだとは思いませんでしたが。』
sm「こいつが易々と手当てを受けたのか？」
その質問に対してかぶりを振った。
記憶を辿るように思案を巡らせる。
今は風に遊ばれる銀の毛が、あの日は赤黒く染まっていた。
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そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 1から読んだら色々ボロが出てくるから読まなくて大丈夫です！笑笑ほんとに全ての内容を忘れたあたりで読み返すことをおすすめします！ (2022年7月8日 10時) (
レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - そらと。さん» 続編読みました！いいですね、良いですね！少し時間がなく一から読み直されないのが悔やまれますが、いつか読み直したいと思ってます！ (2022年7月6日 13時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 読み過ぎですｗｗｗｗ何回読んでも変わらないですからｗ続編楽しみにしててくださいｗ (2022年7月2日 13時) (レス) id: 212d629fae (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - そらと。さん» 50ページの最後が凄く気になりすぎてとりあえず200話だけ2回読みました。ありがとうございます。もう一度1から読んできます！！ (2022年7月2日 12時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 読んでいただいてありがとうございます！そしてお疲れ様です！これからも更新頑張りますのでまた見に来てください！！ (2022年6月24日 8時) (レス) @page45 id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そらと。
| 作成日時：2022年4月29日 23時
