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『っ！！』
気付けは目の前にへリオドールの瞳が瞬いていた。
ふわっと香るきりやん様の香りは甘くない。
驚いて立ち尽くしていると、くいっと誰かに腕を引かれて数歩下がる。
振り返れば先輩が私を引っ張ったようだった。
ふわふわと風のように歩くきりやん様の進む先を邪魔しないようにとみんな道を開けている。
ドアを開けてあげてそのまま外に行く彼に一人のメイドが付いていき、パタンと扉が閉まった。
「ごめんね。急に引っ張って。」
きりやん様の行った先を茫然と眺めていたら先輩から声をかけられた。
我に返ってすぐさま大丈夫だと伝えると、彼女は悲し気に瞳を伏せてポツリと声を漏らす。
「いつまで続くのかしら...」
『？』
「あぁ、いえ、なんでもないわ」
そう言って先輩は笑顔に影を落とす。
その表情が気にかかる。
『私は本日初めてきりやん様にお会いしましたが、以前はあのようなお姿ではなかったと聞いています。何か、きっかけのようなものがあったのでしょうか？』
「あは...聞こえていたのね。
きっかけ、というものは分からないわ。ご気分が優れなくて寝込むようになった辺りから心配はしていたのだけれども
お医者様に見せても、薬を飲んでも変わらないし...次第にお話もしなくなってしまって...」
医者か...君主様は揃いも揃ってお医者の面倒になっているのね。
まぁ、ボルダリア公爵がシャークん様につけていたお医者様だってヤブ医者だったし、
ダチュラを仕込まれたのも病床に伏したタイミングだと見て間違いないだろう。
『なるほど...では、寝込む前に気になる行動はありませんでしたか？
いつもはしないことだったり、いつもの行動でも頻度が高くなったことがあったとか？』
「え？うーん、そうねぇ...特になかったかと思うけど...」
噓を吐いているような素振りのない態度を見て、心の中で肩を落とす。
まともに証言を得られない君主様につくのはナンセンスだったのかな？
先輩に感謝を述べて掃除に戻る。
穴の開いた水槽のようにぼたぼたと零れ落ちる情報。
水かさの減る中身を慌てて救って戻しても堂々巡りになるだけ。
そんな状況に思わずため息が漏れた。
「さて、そろそろ戻りましょうか」
その掛け声に合わせて全員が部屋を後にする。
それに続いて私も追いかけるとふと、誰かの視線を感じ辺りを見回した。
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そらと。(プロフ) - 仇花さん» 自分で見ると大分稚拙な文章で恥ずかしいですが、、仇花様の様に私の表現を理解してくださる方ばかりで嬉しい限りです😭コメントありがとうございます。また読みにきてくれると嬉しいです！ (2022年4月13日 9時) (
レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
仇花 - 文才でしかなくて夜な夜な悶えてます、 (2022年4月13日 3時) (レス) @page21 id: e927d6963f (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - ホホ。さん» 失礼なんてとんでもありません！ありがとうございます！！頑張ります！！！！！ (2022年3月27日 8時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
ホホ。 - コメント失礼します！この小説めっちゃ好きです‼更新頑張ってください‼応援してます！ (2022年3月26日 21時) (レス) id: c8edcf3e17 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 夏葵さん» 一気読みお疲れ様です！更新頑張ります！ありがとうございます！！ (2022年3月1日 11時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そらと。
| 作成日時：2021年11月13日 0時
