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『理由は分かりました。貴女が私に可能性を感じていることも。
ですが答えはＮＯです。家も身寄りもない私はこの国に滞在し続ける理由なんてないのです。
知り合いのいる国に明日向かおうと思っておりますので、きんとき様には持病があって不採用にした、とでも言っておいていただけると嬉しいですね。
あぁ、もちろん今聞いたこの国の内部事情を他言しないってことを約束した上での私からの細やかなお願いです』
お願いという部分を強調し、話を強引に切り上げて椅子を引く。
彼女は悔しそうに眉間に皺を寄せて私のことを見上げていた。
「...................1年」
『はい？』
「今、この国は財政難を抱えているわ。勘のいい人たちは我先にとこの国を出る手続きをしている。
だけど、財源である民をそう易々と逃がすわけがない。
1年って言うのはその手続きが完了する最低の経過日数よ。」
『ふふっ、それらしい事を仰るのですね。そのお話の信憑性はどこに？』
私の問いかけに彼女は伏せていた瞳をゆっくりと上げる。
先ほどとは違う意志の灯った確かな瞳だった。
胸元に付けたブローチを外して私の目の高さまで掲げた。
「鷲のエンブレム。私の名前はアリア・ウィスター。西の関所「ウィスター関所」って言えば分かるかしら？」
『へぇ.....それは確かな情報ですね。それで？貴女は私に何を差し出すのですか？』
「1年。ここでメイドとして働いてくれれば私の権限で通行証を発行するわ。
これは貴女の働きに関わらず必ずこの国から出すことを約束する。」
成功、失敗に関わらず....か。それは悪くない話だ。
働きながら資金を稼げるし、最低経過日数でこの国から出られる。
『ふふっ、いいでしょう。その話に乗ります。
念のため言いますが私は茶葉に混ざった毒草を見抜くことができます。
...........どうかお忘れなく。』
「ええ。心得ておきましょう。
では、これからよろしく。Aさん。」
スカートの裾を片手で持ち、もう片方の手は胸の上へ。片足を引いて頭を下げる。
『よろしくお願いいたします。侍女長様。』
＿＿＿＿＿
これが始まりの日。
麗らかな日の光が差し込む静かな時だったと記憶している。
頬を撫でる風の匂いが丁度今と同じ匂いだったと思って笑みを零した。
私は今、ただ一人であの日と同じ鞄を持って目下に広がる景色に思いを馳せていた。
＿＿＿＿＿＿＿＿また静かに、目を閉じる。
Prologue END
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そらと。(プロフ) - 天音さん» あら、それは運命ですかね、、、また見つけてくれてありがとうございます。頑張りますね！ (2022年3月4日 7時) (
レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - まだログインもしてなかったし、お気に入り登録とか知らなかった。そんな昔にみたお話...、のはずなのにまた見つけられた...？！このお話はおもいでの作品のうちの1つです。無理せず頑張ってくださいね！！！ (2022年3月3日 0時) (レス) @page9 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 狛犬さん» フォローありがとうございます！！ (2021年11月17日 18時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
狛犬 - お手数かけてすみません！アカウント名は「狛犬 @nTdKEqUijhOcqHZ」です誤字ってたらすみません！ (2021年11月16日 18時) (レス) id: 0666cd5f1f (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 狛犬さん» うーん、、、一応私のプロフにもHPの欄にURL載せてるのでそこから飛べなかったら私がお迎えに行きますのでユーザー名など教えて頂けると嬉しいです！ (2021年11月12日 17時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そらと。
| 作成日時：2021年9月20日 3時
