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クソガキ 24 ページ26

「まあ…そうだったの…」

三雲のお母さんにちょっとだけ昔話をした。

「どうしても…最後に見た顔に重なってしまって…」

私は涙をティッシュで拭いた。

「私、三雲に言ったんです。「あんたも、その子も必ず助ける。」って…でも…でも…」

「いいえ、あなたは充分にやってくれたと思うわ。」

私は涙でぐしゃぐしゃの顔を上げた。

「あなたのおかげでこの子は助かったと言っても過言ではない。」

「え、それはちょっと言い過ぎなんじゃ…」

「って、迅くんが言っていたわ。」

迅が…?

「そ…そうなんですか…?」

「ええ。さっき名前を聞いた時、どこかで聞いたことがある名前だと思っていたの。」

驚きすぎて涙が引っ込んでしまった。

「ありがとう。この子を助けてくれて。この子は…私と夫にとって宝なの。」

「宝…?」

三雲のお母さんは真剣な眼差しで眠っている三雲を見つめた。

「たった一人の可愛い息子だもの。ボーダーに入ると言い出したときも、私は反対したわ。………でも…」

彼女は言葉を切り、私に視線を戻し

「ボーダーで…あの子なりに頑張っているのね…」

納得したように微笑んだ。

「…………私は、彼のことはあまりよく分かりません。でも…彼の頑張りは認めたいと思います。」

私は三雲のお母さんの目を見てそう言った。

「………ありがとう。あの子を助けてくれて。あの子のために涙を流してくれて。感謝してもしきれないわ。」

三雲のお母さんは私に軽く頭を下げた。

「…………私は…」

『ありがとう』か…

「当たり前のことをしたまでですよ。」

私は少しはにかみながらそう答えた。

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作者名:姫蘭華 | 作成日時:2019年12月31日 23時

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