クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ22)

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クソガキ 20 ページ22

私は鎌を投げ捨て、出穂を突き飛ばした。

「っ!!」

「紫苑さん!!」

モールモッドの刃が自分を貫き、換装が解ける。

やばい、私今生身だ。やばくない？やばいよね？

「っ……意外と避けられるもんだね！」

とにかくモールモッドの猛攻撃をかわす。

出穂は植え込みの方へ走っていく。どうやら瓦礫かがモールモッドによってせき止められているようだ。

「あと少し…！」

しかしモールモッドが私に夢中になってその場を動いたため、瓦礫が容赦なくトリオンキューブの上に降り注いだ。

「チカ子!!」

出穂の声に耳は傾けるものの生身でモールモッドの攻撃を避け続けるのもさすがにキツい。

「っ…誰かいないの!?」

やはり生身では無理があった。脇腹にかすり傷が入ってしまった。

「った………はー、仕方ない。あの子たちが無事なら良しとするか…」

私は壁に背を預け、ズルズルと座り込んだ。

「…………………ごめんな…"けい"…」

私は静かに目を閉じて次の痛みを待った。

ガキンッ

待っていた痛みは来ずに、モールモッドの強烈な一撃は何か硬いもので弾かれたようだった。

「全く…人には｢生きて｣とか言っときながら自分はそうやって命投げ出すんだよなぁ…」

聞き覚えのある声だ。

「だからほっとけないんだよ」

目を開くとそこには…

「……………慶…？」

見慣れた背中があった。

モールモッドは急所を切り裂かれ、既に動かなくなっていた。

「………もー、俺が間に合わなかったらどうするつもりだったのさ…」

慶はくるりとこちらを向くと、私をぎゅっと強く抱き締めた。

「………ごめんな…慶…」

私は抱き締め返したが、身体に力が入らない。

「怪我、見せて」

慶は一度私から離れると私の脇腹の傷の具合を軽く確かめた。

「小さいし浅い傷だけど、結構出血してんな…歩ける…わけないか…」

当たり前のように慶は私を抱き上げた。