クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ21)

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クソガキ 19 ページ21

「三雲!!三雲!!しっかりしろ!!三雲!!」

「メガネ先輩!!」

三雲はぐったりと地面に寝そべり、全く反応しない。

「やべぇな…血出過ぎだろ………でも…よくやったよ…メガネボーイ…」

駆けつけたC級の子と米屋が三雲の手当をした。

「し…おん…さ…」

「！メガネ先輩!!」

「喋んなメガネボーイ、血が止まんねーだろ」

虚ろな目でぼんやりと三雲は私を呼んだ。

「何？」

「ち…か…」

ちか…ちか…千佳…雨取千佳か！

「千佳がどうした？」

私史上最高の優しい口調だ。

「ち…か…かくし…て………おね…が…」

三雲は咳き込んで血を吐き出す。

「分かった。米屋、三雲を医務室に運べ。」

「了解っす」

三雲は安心したように目を閉じた。

「あ、あの！」

私はその声に振り向いた。

「アタシは、な、何したらいいっすか？」

この子…

「…………私と一緒に来る？」

「え？いいんすか？」

気に入ったかもしれない。

「名前は？」

「夏目出穂っす！」

「行くよ！出穂！」

「はい！」

私たちは再び警戒区域に向かって駆け出した。

「ところで、紫苑さんさっきのメガネ先輩の言葉分かったんすか？」

「………唇の動きで分かる。」

『ちかをかくしています。あおいやねのいえです。おねがいします、ちかをたすけてください。』

三雲はそう言っていた。

「凄いっすね！」

「そうでも無いよ。でも彼も考えたよね。青い屋根の家ってありそうであんまりないのよ。隠し場所としては持ってこいだわ。」

出穂は私に少しくっついた。

「霧が濃いっすね…」

「怖い？」

「……ちょっとだけ…でも紫苑さんがいるし、へっちゃらっす！」

この霧を出したのが私だなんて言えない。

「あ、あそこ！」

指の方を見ると、青い屋根の家が確かにあった。植え込みの影からトリオンキューブが見える。

だが、簡単にはゴールにたどり着けないようで…

「モールモッド…!?出穂、早く行って！」

「は、はい！」

出穂は緊急脱出が出来ない。(私もだけど)極力戦闘は避けたいところだ。

「悪いね、ここで消えてもらうよ。」

私は鎌を振り回しモールモッド2体を続けざまに真っ二つにした。

新たなモールモッドの出現により家が崩され瓦礫がトリオンキューブに降り注ぐ。

「チカ子!!」

出穂は瓦礫と千佳に気を取られてモールモッドが出穂を狙っているのに気づかない。

「出穂!!」

この距離じゃ鎌が届かない。絶対絶命だ。