クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ18)

今日:39 hit、昨日:2 hit、合計:39,749 hit

クソガキ 16 ページ18

「あの、紫苑さん！」

「なに!?」

私は三雲の手を引きながら走っていた。

「何か勝算はあるんですか？」

勝算…

「ない。」

「な、ない!?」

三雲の冷や汗が3割増になった。

「嘘よ。いい？よく聞いて。多分敵将は三輪が上手く足止めしてくれる。ワープ女は基本的に足止め不可能。つまり」

紫苑さんは一度言葉を切ると

「あんたの敵は、ワープ女だけ。」

「え？」

キッパリと言い切った。

「多分、ワープ女も分が悪くなったから、敵将をワープでこっちまで連れてくる。」

私の推測を聞いて三雲は一瞬不安げな表情を見せた。

「…………大丈夫。敵将は私が止めてやる。」

三雲は俯いてた顔をあげて私の目を見た。

「信じて。生きて。」

三雲は覚悟を決めたような表情で頷いた。

「大切なチームメイトでしょ？」

私が右の拳を突き出すと

「はい。紫苑さん、お願いします。」

三雲は遠慮がちに私の拳に自分の拳をぶつけた。

不意に弟との思い出が蘇り、胸がちくりと傷んだ。

「あんたも、その子も必ず助ける。」

私は三雲の肩とトリオンキューブに手を置いた。

「ありがとうございます。お願いします。」

私も三雲も覚悟は決まった。

私たちは二手に分かれて駆け出した。