クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ12)

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クソガキ 10 ページ12

「………あ、あやめさん今日会議サボったでしょ!?」

「え、今更？」

それは夕飯を私が作っているときだった。

「忍田さん激おこだったよw」

「そりゃ怒るでしょうね。」

「まるで人事みたいに…あーあ、おれしーらない」

私は豆腐を切って鍋に入れた。

「………はぁ…」

「どうしたの？疲れてるとか？」

「………ううん、何でもない。」

味噌を溶いて完成だ。

「昨日の煮物の残りで悪いけど」

「全然いいよ。あやめさんの料理が食べられるんだもん。」

慶は人懐っこい笑みを浮かべ、後ろから私を抱きしめた。

「邪魔」

「えー」

尚も離れないので諦めてそのまま味噌汁とご飯とおかずを運んでいく。

「いただきまーす！」

こいつ、ほんとに美味しそうに食べるよなぁ…

「なに？」

「あんたねぇ…ご飯粒ついてる」

慌てて頬を触って米粒を探している。

「おれ思うんだけど、あやめさんって料理上手だね。」

「上手いこと言うのね。」

「いや、ホントホント。」

褒められなれてないし、ちょっと照れくさい。

「あっそ。」

「あやめさんのお味噌汁毎日飲みてぇなぁ～」

「…………………………」

え？

「け、慶…？冗談…だよね？」

「え？」

私の箸を持つ手が空中で止まってしまった。

「今の…」

「さあ、どうだろうね」

このマセガキ、いちいち頭にくる。

「ところで、今日の会議の内容だけど…」

急に態度が事務的になった。私も黙って聞いていた。

「…………なるほど。」

「………そんな怖い顔しないでよ。」

大規模侵攻か…面倒なことになったな…

「大丈夫だよ。あやめさんはおれが守る。約束する。」

「別に守ってもらおうなんて思ってない。自分の身は自分で守る。ただ…」

私は顔を上げ、慶の目を見つめた。

「生きて。」

「………分かった。」

みなまで言わなくても慶にはきっと分かる。

「ねぇ、あやめさん」

「ん？」

「おかわり」

当然のように私に茶碗を突き出す慶のドヤ顔を見て、吹き出しそうになった。

「自分でとってきなさい。」

「はーい。」

………こいつと暮らしたらいろいろ大変そうだ。