クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ11)

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クソガキ 9 ページ11

「落ち着いた？」

「………うん…」

「あーあ、美人が台無しだぜ。」

「五月蝿い」

慶の手は、私の頬をそそっと撫でた。

「弟…けいっていうの？」

「……うん…」

「おれのこと呼んでくれなかったのって…」

「………重なるんだよ。あんたのこと慶って呼ぶの怖くて…私…おかしくなるんじゃないかって…あんたも…慧みたいに…私の傍から居なくなるんじゃないかって…守ってあげられないんじゃないかって…」

慶の手がそのまま私の後頭部に回り

私の口が慶の唇で塞がれてしまった。

「………おれは、あやめさんの弟じゃない。」

「そうね。」

「あやめさんの弟はおれじゃない。」

「そうね。」

格子状の目がいたわるように私をじっと見た。

「あやめさん……もういいよ…」

「え…」

「自分を責めるのはこれで終わりにしよ？」

慶…

「終わり…？」

「そうしないと何も始まらないよ。いつまでも引きずったままじゃ、｢けい｣がガッカリするだろ？」

慧…

「それに、おれはそんな簡単に殺られない。そうでしょ？」

「………うん…」

「あやめさんだってあれからきっと強くなれてるはず。だろ？」

なんなの…もう…

「………うん…」

「おれはあやめさんを、愛してる。純粋にすき。だから、振られてもクソガキ呼ばわりされても追いかけ続けた。」

「うん…」

「まだまだあやめさんと比べたらおれはガキかもしれねぇけど…もっと頼ってくれていいんだぜ？」

この…クソガキめ…

「ありがとう……………慶…」

「うん。」

言ってくれるじゃん。

私はメガネをかけ直し、部屋を出ようとすると

「今日お部屋行ってもいい？」

「き、今日!?」

こいつまさか…

「ダメ？」

「……ど、どうぞ…」

嗚呼、嫌な予感がする。