思い付きの短編集【WT】（リクエスト受付中）

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あてもなく彷徨う蝉の群れに、
水も無くなり揺れ出す視界に、
迫り狂う鬼たちの怒号に、
バカみたいにはしゃぎあい、ふと君はナイフを取ってこう言った。




「君が今までそばにいたからここまでこれたんだ」




「だからもういい」




「死ぬのは俺1人でいいよ」











そして君は自分の首を刺した。
手に持っていた‘ソレ’で。
まるで何かの映画のワンシーンだ、と他人事のように思う。
気づけば僕は捕まっていた。
必死に周りを見渡しても、君が、君だけが、どこにも見つからなくて、










そして時は過ぎていった。
ただただ暑いだけの日々が過ぎていった。
家族もクラスの奴らもいるのに、何故か君だけはどこにもいない。
僕は今でもあの夏の日を思い出す。
今も、今でも忘れられずにいる。
君をずっと探しているんだ。
君に、言いたいことがあるんだ。










9月の終わりにくしゃみをして、
6月の雨の匂いを繰り返す。
君の笑顔は、君の無邪気さは、僕の頭の中を飽和している。










「誰も何も悪くないよ」




「君は何も悪くはないから、」




もういいよ、投げ出しちゃおう？




「そう言って欲しかったんだよね？……Nakamu、」

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