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「その鉄で刀でも作る気?」
「いや、発電所」
私の問いに千空が言い放った。
ゲンの思考が停止する。
「ジーマーでイッちゃってんの⁇
無理ゲーすぎるでしょ!」
冷や汗ダラダラになって言うが、
千空はその言葉を全く耳に入れようとしない。
『発電所』と聞いてもなかなかパッとしなかった。
何故ならあまり見たことがないから。
日本に来た時に風車のようなものを
見たがあれもそうらしいな…。
なんて考えていると、カッと空が光る。
数秒遅れてゴロゴロ…と唸るような音が聞こえた。
「雷だね」
空を見上げていうと科学王国の
奴らは何やら焦り出した。
何かするつもりなのだろうか。
「よかったね、雷使うんでしょ」
「バカ!最悪のパターンだ!
まだ一ミリも準備してねぇ時によ!」
硬直している彼のそばに行き
運の良さを祝ってやったが逆らしい。
「で、なにすんの、手伝うよ」
「鉄の棒に雷落としてハイパワー磁石を自作すんだよ!」
信用を得るために手伝いを要求すると、雷がさっき聞こえてきた場所でも当てとけ、と捨て台詞を言われた。
顎に手を当てて考える。計算法を思い出した。
なるほど、光ってから音が聞こえるまですぐだった。
二秒程だろうか…、340×2=680…。
バカ、中学生一年生でもできる問題をやらせるな。
私はもう高校生ぐらいの歳だぞ。
「目測で680メートルというとあそこの崖とかに落ちたのでは?クロムが磁石があの山でどうこう、と言っていたぐらいだし…」
作業の合間にクロムが自慢してきたことが
あるのを思い出す。
水の上の葉に乗せるといつも北を向く石…、
多分あれは磁石だ。
「よし、準備できたから行くぞ!」
と、そこで邪魔者が入る。
高身長のガタイのいい男…、マグマだ。
コハクによると話が通じる男ではないらしい。
ではどうするのか。
考え抜いた結果ある考えが浮かんだ。
「背も高いし避雷針がわりにできそうだよね」
「隣にサイコパスがいる…」
結局却下された。その上ゲンに引かれた。
鉄棒くくりつけて地面にさしておけば
なかなかいいと思ったのだが…。
次の案を考えているとゲンが動いた。
マグマらの前に立ちはだかり何か言っている。
何かのマジックか…、手にある花を
ぱっと消してしまった。
こちらから見ると丸見えだが…。
しかし彼らには十分なのかびびってかえって行った。
馬鹿め。
「今度こそ、いくぞ!」
千空の声が響いた。
さあ、強力磁石作りに行こうではないか。
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作者名:紙崎 | 作成日時:2020年2月22日 0時