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「凄まじい山颪の風だ…!」
コハクが呟いた。
そばにある少し高い山から風が吹き下ろしてくる。
これほどの力ならば小さい子供はたってられないだろう。
「嵐だ。今夜にはくるな」
顔にかかる髪の毛を振り払い、拳を握りしめた。
あの夜から三日。
話は聞いていないが、おそらく氷月達は
また襲いにやってくるだろう。
なんせお目当てが殺れていないのだ。
怪我人を出したとはいえ、門番たった一人。
あちらも今度司さんを連れて争う際、
少しでも戦力を削れていれば有利になる。
今夜千空を殺すことができれば尚更良い。
くるならばきっと銃が使えない嵐の日だ。
勿論、私は彼に銃ができてるかとか、できていないだとか…そんなことは一切口に出していない。
考えてみればこんな短期間に銃は作れないだろうが、
しっかりしている氷月の事だ。もしも、のことを考えてあるだろう。
そこで後方で歓声が上がる。
どうやらさっきから千空達が試行錯誤
していたものが完成したらしい。
私の持っている短剣とは違い細長く、
片側でしか物を斬ることができない刀。
日本刀というものか…。
コハクや銀狼達が手に持って見せた。
鉄の刃は太陽の光を浴び反射する。
ここで戦闘員として私も使いたいところだが、
残念ながら私は小回りが効く短剣一筋。
興味なし、と言ったようにその場から離れようとすると千空が私に向かって何か投げてきた。
片手で受け取り見るとそこには
日本刀と同じ素材で作られた短剣が。
「お前日本刀とかつかえねーだろ」
「…よくお分かりで」
図星を突かれてムッとなるがすぐに表情を元に戻す。
銃なら、ちょっと使えるけども…。
新しい剣をスカートのポケットにしまい、
古い方は靴の底に取り付け、
敵を蹴り上げる際や、非常用に使うつもりだ。
「ほら、そろそろ日が落ちる。準備を進めよう。」
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作者名:紙崎 | 作成日時:2020年2月22日 0時