#花より団子(nkm×kir) ページ44
お久しぶりの更新です…orz
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nkm side
みんなでお花見中、俺は辺り一面の桜色に見惚れていた。
『花より団子』なんて言葉があるけど、俺は景色を見る派。
こんなに綺麗なら見ないともったいないでしょ?
「なかむ!お前もっと飲めっ、うわっ…!?」
「っ…!」
突風が吹き、吹雪の様に舞う無数の桜の花びら。
ふと隣を見ると、先程楽しく飲酒していた友人が風で舞う桜の花びらを見送っていた。その視線はどこか儚げで、透き通るような金髪に暖かな色が似合う彼はとても絵になる。
そんな彼の横顔に、つい手を伸ばしてしまった。
「…きれー」
気付けば口が開いていた。
「っ!?」
彼は俺が触れたことに少し驚き、俺の手を掴んだ。
掴んだ拍子に離したカップは重力に従い落下。地面と衝突し、横倒しになったカップからはまだ泡の残ったビールが零れた。
「あっ」
「あぁあ!!落としちゃった!!」
「何やってんだよ…」
「タオルいる?」
「すんませ〜ん…」
メンバーからのブーイングを受けながらもシートに零した酒をふたりで拭き取る。
拭き取り終えると、辺りはアルコールの匂いに包まれている。
そんな匂いに触発されたのか、彼は新しいカップに新しい酒を注ぎ始めた。
「あ、さっき何の話してたんだっけ、桜?」
「いや…きりやんが綺麗だなって話…だった…けど…」
桜が、というのは間違いではない。実際にこの景色を綺麗だと思うからだ。しかし俺は一瞬でも彼が、友人のきりやんが綺麗だと思ってしまった。
友人である彼に今まで抱いたことの無い感情を露わにしてしまったことが何だか小っ恥ずかしくて軽く誤魔化した。
そんな彼はグビっと喉を鳴らし、勢いよくカップを置いた。
「…なに、口説いてんの?」
桜より濃くじんわりと染まった頬に手を当ててこちらを見つめる彼は、いつも見ている彼とどこか違って胸騒ぎがした。
この感情は身に覚えがある。一度は経験した感情だ。
「…桜、綺麗だな」
「おい弄ぶな。」
なんなんだよ、と悪態をつきながら新しい酒に手をつける彼の隣で、同じ酒を手に取る。
こんなに綺麗なら見ないともったいないでしょ?
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