3話 茨木 ページ4
酒呑童子視点
?「あら…この気配は……」
ハルヤ「!?」
夜の闇の中から、女の影がちらつく。こんな人気(ひとけ)のないところに来るとは…不用心なヤツがいたものだ。それにしてもあの人間、どこかで見覚えがあるような…?
しばらくして、女は俺の近くへとかけ寄った。まずいな…人間の子どもに化けている以上、補導されてもおかしくはない…
?「やっとお会いできました…。お久しぶりです、酒呑童子様。」
…は?なぜ俺の名を?
?「お忘れですか…?あなたの忠実なる下僕、茨木童子にございます。」
その言葉を聞いて、全てを思い出した。…茨木童子。わけも無く俺を慕い、数えきれないほどの奇行に走っていた大馬鹿者の名だ……俺はそんな茨木がずっと苦手だった。
コイツに関わっていても仕方がない、上手くきり抜けるほかないか…知らないフリでもしておくか…?
ハルヤ「酒呑…童子…?聞いたことないな。人違いだと思うけど?」
?「そうなんですか?…ところで」
?「…源頼光※がお近くにいるようですが…大丈夫ですか?」
※酒呑童子を倒したとされる武士
ハルヤ「はっ!?嘘だろ!?400年も経ってんのに化けて出てきたのかアイツ!?」
茨木童子「ほんの冗談ですよ。私のウソにすぐ引っかかるところも変わっておりませんね。」
ハルヤ「はぁ…お前こそ、まだ女の姿に化けていたのか。」
茨木童子「可愛いでしょう?私のお気に入りの姿なんです。」
フッと笑みを浮かべながら、ご自慢のお気に入りの姿とやらを見せつける。その異常なまでの自己肯定感も、俺がお前を苦手とする1つの要因だということも知らずに。
ハルヤ「ところで…なんでお前も人間界に?」
茨木童子「それはもちろん、 酒呑童子様に再度仕えるためです。」
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作者名:日向(ひゅうが) | 作成日時:2023年3月29日 8時