Episode175 ページ26
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犬飼先輩が私のこめかみに銃口をつけて、そのまま引き金を引いた。私はそのままダウン、すぐに傷が修復されて新しいトリオン体が作られる。
「メテオラ！」
「っ！まだやるんですか」
ブザーが鳴る前に犬飼先輩がそれを放ってきて、咄嗟に私はフルガード。防御したい反応だけは以前とそんなに変わらないようだ。もう私の負けは見えている、何本やったって私は犬飼先輩を斬れないし相手にならない。分かりきっているのに、まだ勝負を続ける気なのか？
「戦るよ」
『二本目、開始』
ブブーッ
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十本、十本だ。
そこから十本戦り続けて、全部負け。反撃すらできてない、今の私の動きは隙だらけだった。
ガッ
「いっ、」
ドンッ
「遠征？」
片腕を掴まれて、そのまま壁に背中が強くぶつかった。先輩のせいだ。ぐぐ、と掴まれた私の手は壁に押し付けられていく。
そのまま、先輩が言った。
「遠征のせいで、こんなんになっちゃったの？」
どうしてそんな、数学で「ここの答え何？」と訊くような口調で、この人は。壁の冷たい感触が、背中からずっと伝わっていた。
―――犬飼side―――
そもそも、中三になるまで存在も知らなかった。おれがボーダーに興味を持ち始めて、そしたらたまたま見つけた雑誌の表紙の子が体育祭でおれのいる救護テントに来て。ただ、それだけの関係。ボーダーに入ってからも頻繁に会うこともなかった。ただ、ランク戦を何度もやったり、ご飯を食べに行ったり、そういう関係。
「何があったのさ、亜桜ちゃん」
干渉したことはなかった。でも今回ばかりは、気になってしまった。あんなに体が傷ついた君を見たのは初めてだった。こんなに心が傷ついている君を見るのは初めてだ。遠征ってそんなにすごいものなのか、毎日彼女に空元気をさせてしまうほど、あんなにランク戦が好きだった彼女が模擬戦すらまともに出来ないようになるほど。
「……殺されかけただけです」
きっと嘘はついていない。本当に、言ってしまえばただ殺されかけただけなのかもしれない。ただ蓋を開ければ、殺されかける過程に何かあったという話なんだろう。当然、そこまで話してくれるはずもなかった。踏み込まない関係を作ったのはおれだ。ばったり基地であっては気楽にランク戦をして、あまり重たい話をしたり深入りしたりしない仲にしたのは、おれだ。
「そっか」
俺は彼女を壁に押さえつけたまま、空いてある方の手で武器を彼女の左胸にぴたりとくっつけた。かち、と音が鳴る。
『供給器官破壊、亜桜ダウン』
引き金を引くとそれが響いた。
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亜桜(プロフ) - サクラさん» はじめまして、コメントありがとう御座います！！すごく嬉しいです……！こちらこそ数ある作品の中から見つけて下さりありがとうございました！ (2022年5月29日 1時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - はじめまして！作品一気に読ませていただきました。後半ボロ泣きしながら読みました。素敵な作品をありがとうございます！ (2022年5月24日 1時) (レス) @page50 id: 99a13ff01b (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - ペコの助さん» こんばんは、コメントありがとうございます！お言葉だけで大変光栄です。ありがとうございます。そしてご指摘大変助かります！見落としておりました;;なおしてきます！ (2022年2月8日 2時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - 最後に非常に申し訳ないのですが、（親友）の場所が（旧友）になっていて変換ができていません。意図的でしたらすみません。頑張ってください！ (2022年2月8日 2時) (レス) id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - こんばんは！つい先日、この作品に出会ってから一気に読み進めてしまいました。心理描写諸々、とても素敵で何回も読んでいます。本当は単行本、購入したいのですがまだ、親の目があり難しくとても悲しいです....。これからも応援しております！ (2022年2月8日 1時) (レス) @page50 id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2019年2月10日 13時
