Episode174 ページ25
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「トリガー・オン」
「……トリガー・オン」
『ふたりとも、始めていい？』
私も犬飼先輩もトリオン体になり、モニタールームから鳩原先輩が確認を取る。さっき鳩原先輩が仮装戦闘モードのスイッチを押したので、私の戦闘体も維持出来るわけだ。それにしても、犬飼先輩の狙いは何？いつもは私の様子がおかしかったとしても、それについて触れてくることなんてなかった。なのになぜ今日は絡んでくるのか。干渉させない代わりに、干渉してこない人。貴方はそういう人だっただろう。
「いーよ」
「大丈夫です」
犬飼先輩も私も口々に応答して、武器に手をかけた。
『模擬戦開始』
ブブーッとブザーが鳴って、犬飼先輩の銃口がこちらに向いた。ドカドカ、と音が鳴る。
「アステロイド……！」
そこから放たれる弾をかわしながら、私は走り回った。先輩が退くので距離が詰められなくて、弧月の間合いにはなかなか持ち込めない。仕方が無いので、弾で反撃へ。乱暴に打っただけなので当然当たるはずもない。今の私の実力は犬飼先輩の半分以下だ。先輩の攻撃だって、避けているつもりでも先輩の弾が何発かかすってトリオンが漏れている。
「っグラスホッパー」
犬飼先輩の銃弾の間を通り抜けて、グラスホッパーで一気に彼に近づいた。真正面、距離は一メートル未満、私はそこでブンっと弧月を先輩の首にめがけて振った。
「亜桜ちゃん」
カタ、カタカタ、
首の真横。そこで止まる私のブレード。前までの私なら、今ので決めていた。このまま弧月を振り切って彼の首を飛ばして、決着がついていた。でも今は、酷く震える手を抑えることができない。これ以上前に、ブレードが進まない。
「斬れないの？」
「ーー！」
淡々と、ただ疑問として問う犬飼先輩の声。ぎゅっと弧月を握りしめるけれど、それでもそこから剣先が動くことは無い。まるで硬い何かにブレードを固定されてしまったかのように、一寸たりとも前へ押し込むことができなかった。犬飼先輩の首はずっと体と繋がっている。これが多分、犬飼先輩の問に対する私の答えだ。まさか自分がこんなことになっているだなんて、ここまで堪えているだなんて、正直思いもしなかった。トリオン兵を目の前にしたあの瞬間まで、全く。今朝も、自分が今までと何も変わらない、アタッカーランクニ位の亜桜Aなのだと信じて、疑ってなどいなかった。それなのに、今の私は敵に向けたブレードをそれ以上先へ進められずにいる。
カチ、
「……」
ズドンッ
『伝達系破壊、亜桜ダウン』
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亜桜(プロフ) - サクラさん» はじめまして、コメントありがとう御座います！！すごく嬉しいです……！こちらこそ数ある作品の中から見つけて下さりありがとうございました！ (2022年5月29日 1時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - はじめまして！作品一気に読ませていただきました。後半ボロ泣きしながら読みました。素敵な作品をありがとうございます！ (2022年5月24日 1時) (レス) @page50 id: 99a13ff01b (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - ペコの助さん» こんばんは、コメントありがとうございます！お言葉だけで大変光栄です。ありがとうございます。そしてご指摘大変助かります！見落としておりました;;なおしてきます！ (2022年2月8日 2時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - 最後に非常に申し訳ないのですが、（親友）の場所が（旧友）になっていて変換ができていません。意図的でしたらすみません。頑張ってください！ (2022年2月8日 2時) (レス) id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - こんばんは！つい先日、この作品に出会ってから一気に読み進めてしまいました。心理描写諸々、とても素敵で何回も読んでいます。本当は単行本、購入したいのですがまだ、親の目があり難しくとても悲しいです....。これからも応援しております！ (2022年2月8日 1時) (レス) @page50 id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2019年2月10日 13時
