Episode151 ページ2
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しばらくの沈黙。
シュタッ、カキィイン!
太刀川さんの弧月が敵の武器とぶつかって、高い音が鳴った。おれは援護のために二つの立方体を出す。まずは敵の『逃げ道』を誘導するのが妥当。
「バイパー!」
おれの弾を避けるために敵が一歩右へ出て、
サシュッ
東さんがそこを狙って狙撃して、それが敵の右腕に命中、腕がぼすっと地面に落ちた。
「くそっ、」
体制を立て直そうとして敵が一歩後ろに下がって勢いをつけて、再び太刀川さんに向かってスピードをつけて斬りかかる。
タンッキンッ
「アステロイド」
「な、」
太刀川さんがその太刀を受けて、すぐさま真上にジャンプした。瞬間敵にはおれの放ったアステロイドが命中。おれは敵からすれば太刀川さんの体で隠れて見えない場所に立っていたので、太刀川さんが上に跳んだことで、肉壁がなくなった敵はまんまと蜂の巣にされたというわけだ。
「三対一で悪いな」
ザクッ
太刀川さんが背中から二本の弧月でトドメをさした。
―――太刀川side―――
敵を片付けて、狙撃位置についてくれていた東さんが戻ってきた。三人がかりでやればさっきのレベルの人型一人片付けるのくらい造作もないことで、戦いさえ始まってしまえばすぐに仕事は終わった。
「よし、じゃあ下の援護に、」
「その必要は無いよ太刀川さん」
援護に行こうと一歩踏み出した時、下から登ってきた迅の声によって俺の体は止まった。そして視界に入ってきたものに、声まで止まる。ポタ、ポタ、と落ちているのは紛れもなく血液。
「……!」
「……!?」
「!」
出水も東さんも俺と同じだった。何故なら迅は生身で傷だらけのAを抱えていて、迅の後ろからやってきたA級二位部隊の隊員も、傷だらけのチームメイトを抱えていたから。
「は、迅さんそれ、Aどういう……」
「……話は後だ出水。とりあえず、」
『迅、』
混乱する出水に迅がそう言って、最後まで言い切る前に通信機から高い声。
『こっちは揺動ね、全っ然手応えないわ。必要ならそっち行くけどどう?』
心底退屈そうに小南が言った。迅は「そうだったか良かったー」といつもの声色で返す。迅以外の誰も言葉を発することすらままならないほど、目の前の光景を飲み込むのがやっとだというのに。
「小南、今からおれたちは船に戻る」
『は?なんで……』
「詳しいことは後で話す、そう忍田さんにも伝えといて」
『……分かった』
「よし、急ぐぞみんな」
迅が言って、Aを抱えて走り出した。
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亜桜(プロフ) - サクラさん» はじめまして、コメントありがとう御座います!!すごく嬉しいです……!こちらこそ数ある作品の中から見つけて下さりありがとうございました! (2022年5月29日 1時) (レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - はじめまして!作品一気に読ませていただきました。後半ボロ泣きしながら読みました。素敵な作品をありがとうございます! (2022年5月24日 1時) (レス) @page50 id: 99a13ff01b (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - ペコの助さん» こんばんは、コメントありがとうございます!お言葉だけで大変光栄です。ありがとうございます。そしてご指摘大変助かります!見落としておりました;;なおしてきます! (2022年2月8日 2時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - 最後に非常に申し訳ないのですが、(親友)の場所が(旧友)になっていて変換ができていません。意図的でしたらすみません。頑張ってください! (2022年2月8日 2時) (レス) id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - こんばんは!つい先日、この作品に出会ってから一気に読み進めてしまいました。心理描写諸々、とても素敵で何回も読んでいます。本当は単行本、購入したいのですがまだ、親の目があり難しくとても悲しいです....。これからも応援しております! (2022年2月8日 1時) (レス) @page50 id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2019年2月10日 13時