Episode048 ページ49
太刀川side
出水に急かされて、俺は隊室にいるそいつのもとへ赴いた。ドアを開けて、ソファーの上に見えた人影に話しかける。
「おいA、ちょっと言いたいことがあるんだが……」
「太刀川さん私オールラウンダーになります！」
「、は？」
俺がソファーの方へ近づこうと歩き出すと、そいつの方からおれの目の前まで歩いて来て、バッと俺の顔を見上げた。思わずぶつかりそうになる勢いだった。
「A、今何て？」
「私は！オールラウンダーに！なります！」
再び訊いて「はあ？」と瞬きをした。なんだこいつ、Ａ級戦のことを引きずっているんじゃなかったのか？俺はAの両肩に手を置いて少し体を後ろに押したあと、再び口を開く。
「ヘコんでると思って来てやったのに、元気そーだなお前」
「それなんですけど、私ずっと考えてたんですよ」
そいつは少し目を伏せて続けた。
「太刀川さんは個人ランクも高いし、出水だって天才だし、正直この隊の戦闘員は太刀川さんと出水だけでやっていけるなって」
確かに、現在アタッカーランク一位の迅と互角に戦り合う俺と、入隊当初から天才と謳われる出水。一緒にやっていくには劣等感があったかもしれない。けれどAだって戦闘訓練は七秒だったし、特異五感なんてサイドエフェクトも持っている。
十分負けていないと思ったから、俺はお前を誘ったのだ。
だがそれは、今は言わずに飲み込んだ。Aがもう答えを出しているのなら、今更そんな言葉はいらないと思ったから。
「でも、やっぱりここが好きなんで。どうやったら二人の足を引っ張らないでいいかなって思ったら、二人の”間”になればいいんだって思ったんです」
「間？」
俺がその単語をリピートすると、そいつは「はい」と頷いた。
「弧月で太刀川さんの横に並べなくても、センスで出水に勝てなくても、”足し算”で二人の隣に立てればいいんです！」
伏せていた目をまた俺の方へ向けて、そいつはそれをキラキラと輝かせた。新しい玩具を買ってもらった、子供のような目。ああ本当に、ボーダー隊員であることが幸せで仕方ないのだろう。
「だからメインは孤月、サブは射手用トリガーで戦うことにしました！」
「攻撃手と射手の万能手になるってか？」
「はい！」
なるほどな、と俺は苦笑いした。個々は俺や出水に劣っていても、”合計”で並べれば戦力になれる。こいつが自分なりに考え出した答えだ。
「じゃあ、次のＢ級ランク戦までに頑張れ」
「任せて下さい！」
なあ出水、もう迅の言葉なんか、こいつに伝えなくてもいいだろ？
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます！固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜！ (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります！！ (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです！続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます！！わがままな作者で申し訳ないです（汗）必ず戻ってきます…！ (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2015年8月5日 16時
