Episode036 ページ37
忍田side
「あいつ絶対ボーダー向いてますよ」
いつか、弟子がそう自慢気に話してきた。話によると、”その子”は勝手に警戒区域に入ってきて、咄嗟の判断で、慶のトリガーでネイバーを刺したらしい。しかも、サイドエフェクト持ちの可能性があるのだとか。それも数キロ先の警戒区域にネイバーが現れ、そこにボーダーが居ないことを見事に言い当てるという、使えそうなもの。
「俺が入隊させるんで、楽しみにしといてください」
その時の慶の目は、遊び相手を見つけた子供のように期待に満ちた顔だった。
.
「お前が母親の説得をしたのか？」
「そうしなきゃ入れないと思ったんで。忍田さんも一回会ってみて下さいよ、面白いやつですよ」
それからしばらくして、例の女の子が入隊試験を受けることになった、という話を慶から聞いた。どうやらその子は母親の反対を受けていたらしく、それを慶が説得したというのだ。弟子がここまで押す人材に、興味を持った。
.
「太刀川さん、もしかしてベテラン隊員なの？」
「いや、慶が入隊したのは最近だ」
「っ、え」
あの日、ランク戦ブースが騒がしいのを訊きつけて、私はそこに足を運んだ。すると二人の訓練生がパネルを見上げてそう呟いたので、私は思わずそれに答えてしまった。
「……ああ、名乗りもせずにいきなりすまなかった、私は忍田、慶の師匠だ」
「師匠！？」
『６ー４、勝者、太刀川』
そして、ここでランク戦が終わる。皆が騒いでいたのは、慶と迅、最強クラスの二人が戦っていたからだった。勝者は慶、我が弟子ながら強くなったと思う。元の性格が好戦的だった故の功績だが。
「すいません、友達待ってるんで失礼します」
「はっ？おい亜桜！」
すぐに、少女はこの場からいなくなった。もう一人の訓練生の少年が去っていく彼女の名前を呼んだので、私は目を丸くした。そうか、君が。慶が手間を取ってまで引き抜いた少女というのは、君のことだったのか。
「……へえ、あの子が」
亜桜A。以前より慶の口から訊いていた少女の名だった。走り去っていく背中を見ながら、だったらもう少し話しておけばよかったなと後悔した。あの慶が一人の子の親を説得させた場面には私も興味があるし、色々話を訊いてみたかったものだ。まあ、それはまた別の機会にしよう。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます！固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜！ (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります！！ (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです！続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます！！わがままな作者で申し訳ないです（汗）必ず戻ってきます…！ (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2015年8月5日 16時
