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『じゃあ、さっそく明日からお願いね』
調理場の勝手口で、村からやって来た農民にそう言うとAは銀貨を1枚渡してやった。
頭を下げて帰っていく村人を見送っていれば、隠れていたきんときが顔を出す。
kn「本当にあっさり決まるもんだね」
『平民以下の身分の者しかいない村だもの。通貨の稼ぎ口は願ったり叶ったりでしょ』
6人がこの屋敷に転がり込んできた夜の事を知っている住み込みの使用人を皆殺しにしたのはつい昨日のことだというのに、やはり家事労働と縁遠い生活をしていたAには、ある程度の使用人が必要だと実感させられた。
しかし、もう住み込みで雇うわけにもいかない。
毎日村から通わせ、立ち入りは調理場と洗濯場のみ。折りを見てこちらから頼んだ時以外に屋敷へ入る事は許さない。
それで1日銀貨1枚なら、普通の使用人としては破格の待遇だ。
これで当面の生活の質は維持できる。
kn「まあ俺も屋敷のこと手伝うし。皆んなにも掃除と洗濯くらい自分でやらせたらいいよ」
『でも、……』
kn「“掃除は自分でやる”、アレって別にAを殺した時の血の掃除の事だけじゃないからさ」
きんときの指先が、するりとAの首を撫でる。
ただの首筋ではない。それが頚動脈のあたりだというのは、Aでも気付けた。
kn「美味しそう、たまんない」
『き、きんちゃ……』
kn「怖い？ 可愛いねぇ、A」
抱き寄せてAの首筋に鼻先を擦り、クスクスと笑うきんときの吐息が、微弱な電流のように体中を駆け巡る。
くすぐったいような、脊髄に爪を立てられているような、ぞくぞくとする感触。
しかしなぜか嫌に感じない。
それどころか、このままいってしまったら、きんときに体の感覚を書き換えられてしまいそうな、そういう恐怖にも似た甘い痛みが襲ってくる。
『き、きんちゃん、だめ、なんか、おかしい……』
kn「大丈夫、安心して。……“他のヤツらがした事まで”しか、僕もしないから」
「だから嫌がらないで」、ときんときはAを抱きしめた。
それがどこか、縋りつくような弱さを見せてくれている気がして、Aは、少し強張っていた肩の力を抜く。
……あれ？ 他の人が「したこと」まで？
kn「ごめんね、A」
ゴリッという音が脳天に響いたのを最後に、体が重力にまかせて崩れる。それを待ち構えていたきんときの腕の中で、Aの意識は暗転していった。
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ナイア(プロフ) - nonさん» はじめまして。コメントありがとうございます。初めての投稿なのでとても嬉しいです！口下手ですみません、本当にコメントありがとうございます。途切れないようがんばりますので、引き続きお楽しみ頂けますと幸いです。 (2022年4月27日 16時) (
レス) @page32 id: 939161efad (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。 設定やストーリーがとても面白く、更新分まで一気に読んでしまいました。今後の展開がとても楽しみです。特に私は青色さん推しなので次の彼のターンがどうなるのかドキドキが止まりません...！ 陰ながら応援しています (2022年4月27日 10時) (レス) id: 9574cf357f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナイア | 作成日時：2022年4月23日 3時
