【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ38)

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『本っ当ーーーーーにごめんなさい』

講義をサボって寝過ごしたお昼過ぎ、二日酔いのAに起こされて目を覚ました。

お酒で潰して持ち帰らせてはもらいましたけど、まあ〜ね、俺がそんな卑劣なことするわけないじゃないですか。

俺はAを自分の家に連れて帰って寝室のベッドに寝かせたあと、俺はリビングのソファで寝た。
けっこう飲ませたからベッドで吐かれてもAなら全然許すって思ったけど、Aはそこそこザルだったようで何の粗相もしていなかった。……なんかやらかしてくれた方が面白かったんだけどな、とか、思ったのは内緒。

kr「あー、全然。むしろ俺もゴメン、A結構酔ってたからさぁ、ひとり家の前に置いてくるとかできなくて連れて来ちゃった。本当ごめんね、念のため言っとくけど変な事とかしてないから」

『えっあ、それは別に…… ごめんねきりやん、ベッド占領しちゃって』

kr「だからぁ、ゴメンじゃなくてありがとうな？」

『うん、……ありがとう』

kr「よしよし、えらいえらい」

つい、俺はAの頭を撫でてしまった。しまったと思う頃には、Aは顔を赤くして目をぱちぱちさせている。

kr「あ、えっと、…… アッシャワー浴びてく？男物のシャンプーしかないけど」

『え、悪いよ、……私、帰るね』

kr「そう？じゃあちょっと待って、送ってくから」

『大丈夫だよ、本当に。……きりやんにばっか甘えて、悪いから』

ねえ、口説いていい？今すぐ。

頭の中で天使の俺と悪魔の俺が交互に囁く。
　紳士でいるのです、Aからの信頼度を落としたいのですか。
　もうここで手ェ出しちゃえ。Aはだいぶお前に傾いてるぞ。

気まずいような、何とも言えない沈黙をAと見つめ合う。お互いに言葉が出てこない。でも、Aが俺をただの友達じゃなくて、1人の男だと思ってくれている確証は得ていた。

Aの言う通り、俺の正体は悪魔なのかもしれない。

kr「A、ちょっとここ座って」

寝るときに被ってた膝掛けをどかして、ソファの自分のすぐ横のところをポンポンと叩けば、Aは促されるまま大人しくそこへ腰掛ける。

一人暮らし用の、2人にはちょっと小さいソファ。俺は初めて、Aとくっつきそうなほど近くに寄った。