【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ21)

今日:20 hit、昨日:26 hit、合計:71,410 hit

　┗　2 ページ21

.

白尾学園高等部はそれなりにデカい私立校だ。一学年の普通進学科だけで10クラスあって、クラスの数字が大きくなるにつれて、生徒の成績のレベル順も上がっていくから分かりやすい。
Broooockと同じ9組ということは、Aも平均以上に頭が良いか、もしくは、何かしら突出した優秀科目があるということ。

それだけで近寄り難い存在ではあるが、友達であるBroooockの友達、となれば、「9組でもこんな感じなんだ」と思えてくる。

まあ一番レベルの高い10組にきりやんが居るから、元からそんなに気負ってはいなかったんだけど。

br「ねぇねぇA、今度はやんさんとシャークんにも紹介していい？」

『いいよ、6人組って言ってたもんね』

kn「あ、Nakamuとスマイルにはもう会ったんだ？」

br「うん。学校来るときバッタリ会ってさ〜、スマさんガチガチに緊張してておもろかった」

階段のホールを挟んで向こうから「A〜！」と呼ぶ女の子の声がして、Aは振り返る。

『私行くわ。サリュ(またね)Broooock、きんときも今度ゆっくり遊ぼ』

振り向いていたAが、またこっちを見て笑う。

目の前でフワフワの髪を遊ばせたAのその動作に揺れた空気は、びっくりするくらい良い匂いがした。

br「うん、またあとでね」

でも、びっくりしたのはAの良い匂いだけじゃない。

BroooockはAと普通にハグして、普通に両頬を交互に重ねて「ちゅっちゅっ」てしてから、Aも何事も無かったかのように「Ciao〜」って去って行ったのだ。

これが文化の違い、と頭では分かっていても、きんときは目の前で起きた、年頃の男女の、それも近しい友人が当事者となった触れ合いに一瞬硬直してしまう。

br「あれ？きんさんもやりたかった？」

kn「……えっいや、びっくりしただけ」

br「やり方だけ教えてあげよーか」

kn「いやいい」

br「まあ下心ある人がAとビズするのは僕も嫌」

kn「下心って」

Broooock越しに、遠くで女の子達と笑いながら教室へ入っていくAの背中を眺めていると、Broooockも見送って満足したのかきんときに振り返る。

br「僕、本気でAのこと狙ってるからさ。サポートよろしくね、きんさん」

にっこり笑ったBroooockが怖かったのは、身長差のせいだと思うしかなかった。