【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ22)

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なんていうか、僕ってけっこう意地悪なんだなあって、思った。

br「A〜〜〜 Why don’t we talk over lunch？」

『oi〜〜〜 i'm comeing〜』

br「knock knock〜 can rent your chair, right?」

mob「えっ、えっ……？」

br「あっゴメ〜ン、えっとぉ、椅子借りてもいい？」

あ、今のはわざと。

Aと英語で喋ってから、そのまんま隣の席の子に「席借りて良い？」って聞いてやった。英語のままね。

めっちゃ狼狽えながら席を譲ってくれた、名前も覚えてないクラスメイトに笑顔で「ありがとう〜」って言えば、僕は無罪放免。
机をくっ付けて、Aが可愛いランチトートを持って来たら、両手を広げて抱きしめてお出迎えしてあげる。

br「mon petit〜 J'adore ton sourire〜」
(僕のかわいこちゃん、君の笑顔大好きだよ)

『Tu es beau aussi, Broooock』
(Broooockもカッコいいよ)

お昼休み、教室のど真ん中。唇はつけずにほっぺた同士をくっ付けて「ちゅっ」て音を出すだけのエアキッス。いっちゃいちゃ。

『Broooockフラ語もできたんだ、覚えてる言葉しか出てこなくて焦っちゃった』

br「英語の延長線だからね〜まあ僕も適当しかわかんないけど」

でもこれは挨拶だからね？好奇の目で見たり、からかってくるような奴はAに関わらんでもろて。

どうして僕がこうなったかって、もちろんAを狙ってる奴が多いから。だってAは目立つもんね。それはたぶん、いい意味でも悪い意味でも。

みんなAのことが気になるくせに、自分達とはちょっと異質だってだけで遠巻きに眺めて羨むヤツらばっか。

僕もハーフだけど、女子のAと違って話しかけやすさはあるみたいで。Aと仲良い男子は僕だけだから、A目当てで話しかけてくるヤツがいる分、僕は普通のクラスメイトに近いのかも。

そう、Aは可愛い。美人さんだ。みんなはAのこと隣に連れて歩きたいんだなってのがわかった。

……まぁ僕、女の子をアクセサリーみたいに考える奴らが大嫌いなんで。
そんな奴らがAと仲良くなりたいなんて、身の程わきまえたら？ってのが本音。

だから僕は、文化の違いに託(かこつ)けて「Aは僕のものです」と全力で見せびらかすって決めたわけ。