それがぺトリコール ページ32
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「ほら擦るから顔真っ赤〜…… タオル持ってきてやるから待っ」
「こんち、うわ……」
「挨拶ついでにドン引くなよ」
はかったようなタイミングで入ってきた烏丸は大泣きする彼女を見るやいなや状況を察し、スクールバッグの中からタオルを出し彼女の顔に押付けた。
「出水先輩に泣かされたのか」
「あながち間違いじゃないっつーか……」
うんとすんとも返事しない彼女に烏丸は少し悩んだあと「……出水先輩と仲直りできた？」と問いかけた。
「ぅﾞん」
濁点に混じった返事に烏丸は表情を変えずに「そうか」とだけ返した。出水は出水で「おれたち喧嘩中だったのかよ、」と気の抜けた声が漏れる。
「十分喧嘩中ですよ」
「まじかよ」
「まじっすね」
烏丸は彼女にティッシュを差し出したり背中をさすったりと、大家族の長男坊だからか、泣き出した彼女への対応が手馴れている。上の姉弟しかいない出水は、こういう時の対応には慣れておらず手持ち無沙汰から頭をかくしかなかった。
しばらくの間ぐずぐずと泣いていた彼女だったが、タオルから顔を離して出水を見やった。涙に濡れた瞳の周りは泣き腫らして真っ赤になっている。出水の罪悪感を引き出しには十分なそれに、出水は困った顔を浮かべるしかなかった。
「じゃあ仲直りの握手しましょう」
「……烏丸家ではそれがお約束？」
「そっすね。仲直りの握手は絶対すね」
烏丸に促され手を差し出す彼女。まじかー、と思いながらも差し出された手を握り返した。
「これで仲直りな。もう避けんなよ、流石に傷つく」
「はいﾞ」
よかったよかったと腕を組み人仕事を終えた烏丸は2人を見つめながら真顔で言い放った。
「まぁ握手して仲直りしてるは嘘なんすけどね」
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月26日 0時
