あるがままの意地悪 ページ40
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彼女にとって大切な友人であるヒュースの初試合わ防衛任務によって現地観戦の断念を余儀なくされ、またも竹富を上手く買収し巻き上げた音源付きログを国近にお願いして許可を得たオペレーター用モニターで鑑賞をしていた。
つまみにと買ってきたポップコーンと飲み物はこの後から分かる白熱の戦いの前では手が進むこともなくお飾りになるのが、彼女はただ国近専用のゲーミングチェアの上で体育座りして見守っていた。鈴鳴第一の夜戦奇襲撃から始まったランク戦は、狙撃手には不向きな屋内戦がメインになる市街地Dだ。
「お、昨日のやつじゃん。借りてくんのはえーな」
「ンギ……出水先輩は観たんだからいいじゃないですか……」
「単独防衛任務おつかれ〜〜」
「ウウウ」
隊室にやって来た出水は彼女の座るゲーミングチェアをぐるぐると回す。
急遽穴が空いた防衛任務をたまたまその場に居合わせたかった彼女が担当する事になったのだ。彼女をこの世界に連れてきた忍田に対しては彼女は従順だ。頼み事は基本二つ返事で了承する故にたまに自分の首を絞めることが多々あったりする。
「これ狙撃手封じですか？でも今回どの隊にも狙撃手いるし、東さん壁抜きできるからあんまり関係なさそうですけど」
「見てりゃわかるって、これ鈴鳴第一楽しいことしてっから」
いただき、と彼女が持ってきたポップコーンを食べながら出水も見守る。
「……？これ、ワイヤー何も無い……」
「お、気づいた？」
「なんで？なんでワイヤー使わないんですか？」
「ほぼ屋内戦が確定してるからじゃねーの？ワイヤー張るような場所もないし、見晴らしもいいからワイヤーとしての機能が働かないだろ」
基本大型施設はドーナツ型の造りが多い。建物の作りが縦に長いフロアごとの天井は低い分、三雲がワイヤーを張っても空閑の機動力の助けにはならい上雨取の援護はほぼ出来ない環境である。しかしこれまでの試合を三雲のワイヤーが鍵になっていたのは確かであった。彼女は三雲の考える作戦がどのようなものなのか、早々に固唾を飲む。
「えー！！黒い孤月！？なにあれ！！」
「ぜってー食いつくと思った」
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月26日 0時
