ハリウッドで待ち合わせ ページ38
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「小鍛冶、お前狙撃手やめろ」
結果としてランク戦は太刀川隊の勝利を収めたが、太刀川から出た言葉は流石の彼女も予想していた通りの言葉だった。普段のランク戦は終わる度に太刀川は「あそこの動き良かったな」「置きメテオラ助かった」などと彼女のことをよく褒めてくれたが、それは今回に限り違う。彼女もそれを理解していた。だが彼女も彼女なりに考えて狙撃手の選択肢を選んだ。
ただのお遊びで狙撃手に転向した訳じゃなかった。弟子入りまでしてずっとランク戦に備えて訓練していたのだ。
「いけるかなって思ったけどやっぱお前向いてないな。せっかくトリオン多いし才能あるんだから射手に戻れ」
「そ、それはそうなんですけど……でも撃ち落としましたよ！」
「そりゃあの技は辻限定だろ」
太刀川からの正確な正論に彼女は口を閉じる。
出水も烏丸も国近と共に見守ることしか出来なかった。太刀川は確かに私生活はだらしなくあまりお手本になるような人間ではない。現に大学に入ったばかりだと言うのに既に教授の胃痛の素みたいな扱いを受けているようで、度々二宮たちが青筋を浮かべながら太刀川の救済をするのを目撃することはあった。けれども太刀川は戦闘面においてほかの追随を許さぬセンスと才能、技術を持っていた。
「ごめんなさい……もう狙撃手しません……」
「よしよし。別に意地悪で言ってんじゃないからな。おまえがのびのび戦えなきゃおまえも辛いだろうし、てか特攻するなら最初から狙撃手じゃなくていいだろ」
「うっ、ごめんなざいﾞ〜！！」
彼女が考え無しで狙撃手にいったなんて、太刀川をはじめ太刀川隊の人間は誰思っていなかった。だから彼女のことはそう責めなかったし、そもそも彼女のやりたいようにさせていた。
彼女の選ぶ道は迅のように、より良い選択肢を得るための道だとわかっていたからだ。
太刀川は半泣きの彼女を撫で回して笑った。
出水と烏丸はティッシュとタオルの用意をしている時点で、彼女が泣くのは目に見えていたようだ。
「つーかおまえ教えてもらったんだろ。ちゃんと師匠にも謝ってこいよ」
「……？なんでわかったんですか」
「？そりゃ出水たちが心配して狙撃手のとこ見に行ってたからな」
「ちょっと太刀川さんそれは秘密って言ったじゃないすか」
「おいおい勘弁してくださいよ」
「あーあ、太刀川さん言っちゃったぁ」
「……言っちまったな」
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
