ゆるしてディオニス ページ4
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遠征お留守番班のAと唯我は隊長不在の今、直属の上司は忍田であった。
遠征艇が近界に行ってからの1ヶ月はずっと忍田の指揮の元任務を遂行していた。防衛任務も各部隊に混ぜてもらって問題なくこなしていたし、イレギュラー門の対応も、すべて忍田の指揮の元でいた。その忍田から「今夜、嵐山隊と共に迅と任務に当たって欲しい」と命令が下された。
唯我のことを聞けば唯我には黙っていろとの事で、Aはまたいつもの事だろうと了解したのだった。
そして夜。
Aは嵐山隊のオペレーターである綾辻に誘導してもらいあとから加勢した。それも忍田の命令であった。この時Aは十分な説明を聞いていなかった。話を聞いても忍田が言葉を詰まらせるので、Aは聞くのを辞めたのだ。
そして今、Aは修羅場を迎えていたのだ。
「小鍛冶現着しまし、た?!」
「お、来たな小鍛冶。待ってたぞ」
「えっ、うそ。迅さん私遠征班と戦うの?」
「そうだよ、言ってなかったか?」
「きいてない!!」
遠征先から帰ってきていた自分の所属する隊に、ほか遠征メンバーそして三輪隊の面々を見てAはギョッとした。
Aは確かに忍田から明日には帰還すると聞かされていた遠征部隊が、今こうして迅と対峙していることにひどく混乱していた。それもこれも、Aがこちら側に着くよう忍田に頼み誘導した迅の未来視のサイドエフェクトのおかげだった。
「ふーん、ウチの小鍛冶を上手く騙したな。迅」
「騙したなんて人聞きが悪いなぁ」
顔が引き攣り固まるAを他所に、Aの所属する隊の隊長である太刀川は迅を睨んだ。
「小鍛冶」
「ご、ごめんなさい太刀川さん〜!私何も知らなかったんです!それに忍田本部長の命令だから逆らえなかったんです!!」
「別に怒ってない。寧ろラッキーだ。久しぶりにお前と遊べて俺は嬉しいぞ」
「じ、迅さん〜!!」
「わっるい顔してんね太刀川さん」
半泣きのAの頭を撫でながら迅はさらに口を開く。
「でも小鍛冶はホントに知らなかったんだ、小鍛冶のこと責めないでやってくれ。な、秀次」
奥歯を痛いほど噛む彼ーーー三輪秀次はさらに眉間のシワを深くさせた。
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作者名:40 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年12月3日 0時