合縁奇縁【WT】 (ページ12)

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常闇に心臓ページ12

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仮入隊期間忍田さんに頼み込み正隊員の戦闘ログを見漁りノートに書き起こしひたすら個人戦で効果的な戦闘方法を探し続けたという、小鍛冶Aのその貪欲さと努力は見事太刀川の目に留まり引き抜かれたという話は、今じゃボーダー内では有名な話だ。
実際Aを自隊に引き抜こうと息巻いていた人間はそろって肩を落としたし、引き抜いた相手が攻撃手としても個人としてもランキング1位を独走し続ける太刀川だと聞けば納得した。

ーーただ一人を除いては。

眉間に皺を寄せ苛立ちを隠さずに本部の通路を歩く二宮、彼こそが未だにAが太刀川に引き抜かれたことに納得していなかった。

二宮はそれこそ太刀川よりも先に勧誘もしていた。
A自身に自分の元にいるとあるメリットを提示して、それはそれは会う度に勧誘していた。しかしAには毎度一刀両断とばかりに断られ、挙句の果てつい先日には土下座までされた。何故そこまで拒むのだと問い詰めれば

『サイドエフェクトが……そう言ってて……いやあの迅さんみたいなこと言ってすみません……』

二宮が苛立たないわけがなかった。自分のプライドを折って勧誘したのにそれをさらに折られた上にそれを同級生のどうしようもない馬鹿に横取りされたのだ。

二宮は才能がある人間が好きだった。Aが己の才能を自覚してそれを磨くための努力をしていることも知っていた。だからこそ自分の手駒にしてさらに強くさせようとしていたのだ。

「よお二宮」
「チッ」
「会って早々舌打ちはひどくね？」

虫の居所の悪い二宮の元凶に限りなく近い太刀川の登場に二宮はさらに顔をしかめた。

「次のランク戦楽しみにしとけよ。新戦力フルパワーで行くから」
「嫌味か」
「いや自慢」

腹立つ野郎だとばかりに太刀川を睨む二宮に対して太刀川は楽しそうに笑っている。二宮再度喉を鳴らし、太刀川を無視して通り過ぎて行った。

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■ 二宮
Aに土下座までされて断られた男。A絡みになると高確率で顔が怖くなるのでAとの仲が不安視されるが、実はそれなりに今は仲良くしているらしい。この前は来馬と村上とAと4人で焼肉に行った

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