SAT.20…No side ページ20
神山は背中に備えていたMP5を前に構えた。威嚇射撃をしよう、そう思って銃口を空に向けた瞬間、別のところで銃声が鳴った。
ーーーーなんやっ
MP5でも、P9Sでもない、ましてや制服警官たちが持っているニューナンブでもない音だった。
ーーーーどこや!?
最悪なことに、それは押し寄せた聴衆の中から聞こえてきた。さらに二発。高まる悲鳴。飛び交う怒号。
すると左の方で、カカカッとサブマシンガンの銃声が鳴った。MP5だった。SATの誰かが威嚇射撃をしたのだ。
「どいてくださいっっ」
亀田の声が響いた。
ほぼ同時に、大沼の乗ってきた公用車が後退を始める。別のSAT隊員が怒鳴り声を上げる。
神山は車道に出て、まずは残った公用車の周りにいる者を力ずくで押し退けた。特にMP5の効果は絶大で、見た者は飛び退くように歩道の方に帰ろうとした。
広場にいた他の警官も来て、徐々に群衆は歩道へと戻っていく。そんな頃になって、残りの公用車の下に人がうずくまっていることが分かった。
なんとそれは、後頭部は無残にも凹み、ぶくぶくと黒い血が噴き出している現内閣官房長官の、渡辺だった。
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作者名:そら | 作成日時:2021年2月28日 9時