生活安全課.26…side you ページ26
私たちが新宿署に到着したのは夕方、もう5時を少し過ぎた頃だった。
普段の新宿署がどういう雰囲気なのか、私自身はよく知らないけど、それでも現況が極めて異常であることは察することができた。
何しろ一階の総合受付に、ほとんど警察官がいないのだ。
主任は"捜一"の腕章を左腕にはめ、階段前で通せんぼをしている内勤服の警官に手帳を提示した。
「本庁、捜査一課です。対策本部に行きたいのですが」
「あぁ、7階だ」
彼は事件現場同様のテープを持ち上げた。私も慌てて手帳を提示し、主任の後に続く。
7階にようやく辿り着くと、人だらけで廊下を進むのも容易ではない。
「おーい、こっちだー!」
声のした講堂の方を見ると、入り口で管理官が飛び上がって手を振っていた。
警部のひとりが私たちを見つけ、「良かった。歌舞伎町での聞き込みに当たっていると聞いたから、心配してたんだが……無事だったか」と安堵する。
「そうなんですよ。たまたま、秋葉原にいまして………」
横山主任が答える。
ざっと見る限り、中にいるのは百五十人くらいだろうか。所狭しとパソコンや通信機などの機材がたっぷりと設置されている。
すべて新宿署自前の機器だと見てとれ、さすが事件慣れしている部署だとわかる。
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作者名:そら | 作成日時:2021年2月28日 9時