失われた記憶�� ページ10
立原と広津が去った医務室では
Aと銀だけが居た。
「……」
銀はAに近付き、
彼女の手をぎゅっと握った。
「………………生きてて、良かった」
絞り出すように云う銀。
そんな彼女を見て、Aは ふっと笑う。
『…ご免、心配かけて』
Aがそう云うと、
銀は横に頭を振る。
『ねぇ、銀。』
不意に名前を呼ばれ、
なに？と云うように銀は首を傾げた。
『
銀はピタと動きを止める。
Aは続けた。
『…“ 自分で何を云ってるのか判ってるのか ” って、
如何いうことなのかな』
あの時、何かを訴えるように云った立原。
その何か、とは何か。
判らない。
本当に。
銀はじっとAを見て、
それから首をゆっくり横に振る。
知らない。
そう伝えるように。
Aは小さく笑った。
『だよね』
そう云って、自分の左手を見る。
ずっと頭に残っていたのは、
彼の温もりだった。
中原と、触れていた左手の温もり。
暫くぼーっとその手を見て、
それからAはボソリと呟く。
『…中原幹部って、明日も本部に居るかな』
Aの言葉に、
銀は目を見開いた。
そして動揺しながらも首を傾げる。
『…ほら、中原幹部って優しいじゃん？
若しかしたら私が中原幹部を庇ったことで、
責任感じてるかもしれない』
目覚める迄側に居てくれた位だしね、とAは笑う。
『だから、もう大丈夫って云っとこうと思ってさ』
銀はマスクで隠れながらも
唇を噛み締める。
そして、小さく頷いた。
『あ、居るの？よし、じゃあ明日云おうっと』
パァっと笑顔になるA。
その笑顔が、銀の胸を苦しめる。
________何故、覚えてないの。
そう云った処で、
彼女には届かない。
銀はそんな思いを隠したまま、
Aの笑顔を眺めていた。
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花蓮(プロフ) - ｢戀蝶｣から愛読させて貰っています！文ストの小説の中で一番好きです!!!!更新頑張って下さい！これからも応援しています！ (2019年1月2日 16時) (
レス) id: ca285a2166 (このIDを非表示/違反報告)
林檎@諸事情につき低浮上(プロフ) - つ、続きをどうか... (2018年7月21日 23時) (レス) id: 4706140a44 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - くるみさん» コメントありがとうございます。オチについてはもう既に決まっています。どうなるのか此処で云うことは出来ませんが、最後まで読んで頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願い致します！ (2018年5月27日 17時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - 銀ちゃんの辛さもすごくわかります。立原の恋も応援したいですが中也の恋も応援したいです！でも私は中也おしなので中也オチでおねがいしますね！！（もちろん立原もおしキャラですけどね！！） (2018年5月23日 6時) (レス) id: 31ba52f844 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - shinox2さん» コメントありがとうございます。立原くんの活躍する小説が少ないなと思ったこともあり、メインのうちの一人とさせて頂きました。ご期待に添えるように頑張ります！ (2018年5月22日 0時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年5月21日 12時
