失われた記憶�� ページ6
茶色の髪を揺らしながら走る少年______立原道造は、
頭は彼女の事でいっぱいだった。
“ 篠原 Aが目覚めた ”
その言葉に、どれだけ安堵したことだろう。
昨日 目の当たりにした、血塗れになった彼女。
見た瞬間 息が止まりそうだった。
冗談やめろって。
なに、倒れてんだよ。
明日 俺と射撃戦する予定だろ？
お前は、俺の相棒だろ…？
なぁ、頼むから
________何時もみたいに笑ってくれよ。
そんな言葉は口から出る筈も無く。
呆然と、
青白い顔をした彼女を見つめていた。
本当は、駆け寄って抱き締めてやりたい。
でも、それは出来ない。
何故なら、彼女には愛する人が居るから。
駆け寄って抱き締める人は、決まっているから。
自分は、所詮 脇役だ。
自分の想いさえ伝えられない。
彼女の命を守れるヒーローにもなれない。
自分は、臆病だ。
彼女が死にそうだというのに、
何もしてあげられない。
彼女が愛した人の悲痛な叫びを
聞くことしか出来ない。
でも、もう一度チャンスをくれるのなら、
自分は________
.
.
.
ガラッ…と勢い佳く医務室の扉を開ける立原。
乱れる息を整えながら、
彼女が寝ている筈のベッドを見た。
そこには、目を丸くして驚いている人物。
『び、びっくりした…
そんなに勢い佳く開けないでよ、此処 医務室だよ？』
判ってる？と若干呆れ気味に云う人物は、
自分がずっと思い浮かべていた人だった。
「________っ…」
会いたかった。
その言葉を飲み込み、
立原はゆっくり彼女の方に歩み寄る。
「…お前、本当にA？」
『ちょっと立原、それは無いでしょ。
相棒の顔も忘れたの？』
……嗚呼、Aだ。
こみ上げてくるものを抑え込み、
立原はAの髪の毛を掻き回した。
「…俺の相棒はこんなに阿呆面だったっけ、と思って」
『酷っ！てか髪の毛！』
わーわーと騒ぐ彼女は、本当に何時も通りだった。
昨日の青白い顔をした彼女は、
夢だったんじゃないかって思うぐらい。
「________心配させやがって」
ボソリ、立原は呟く。
『なに？なんて云った？』
「…何でもねーよ」
素直になれない自分がもどかしい。
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花蓮(プロフ) - ｢戀蝶｣から愛読させて貰っています！文ストの小説の中で一番好きです!!!!更新頑張って下さい！これからも応援しています！ (2019年1月2日 16時) (
レス) id: ca285a2166 (このIDを非表示/違反報告)
林檎@諸事情につき低浮上(プロフ) - つ、続きをどうか... (2018年7月21日 23時) (レス) id: 4706140a44 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - くるみさん» コメントありがとうございます。オチについてはもう既に決まっています。どうなるのか此処で云うことは出来ませんが、最後まで読んで頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願い致します！ (2018年5月27日 17時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - 銀ちゃんの辛さもすごくわかります。立原の恋も応援したいですが中也の恋も応援したいです！でも私は中也おしなので中也オチでおねがいしますね！！（もちろん立原もおしキャラですけどね！！） (2018年5月23日 6時) (レス) id: 31ba52f844 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - shinox2さん» コメントありがとうございます。立原くんの活躍する小説が少ないなと思ったこともあり、メインのうちの一人とさせて頂きました。ご期待に添えるように頑張ります！ (2018年5月22日 0時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年5月21日 12時
