蒼い眼差し�� ページ14
Aの言葉に、
蒼い瞳は大きく開かれた。
『…私はこの組織に忠誠を誓った身。
幹部を守れたなんて、こんなに光栄なことありません』
「でも…っ」
『中原幹部が仰りたいことは判ります』
そこ迄云うと、Aは笑った。
『…ですが、私は生きてる。
怪我どころか不自由なく生きてるんです。
上司を守れて自分自身に被害が無いなんて、
どれだけラッキーガールなんだっていう話ですよ。
だから、どうか気に病まないで下さい。
私は、大丈夫です』
そう云ってAがへらっと笑うと、
中原はぎゅっと拳を握る。
手前は、一つの記憶が無いんだぞ。
それでも、自分自身に被害が無いって云えんのか。
それとも手前にとって、
その記憶は大したものじゃ無かったのかよ______
最後に巡った思考に、
中原は急に躰が冷めていく感覚に陥る。
『…中原幹部？』
黙り込んだ中原を心配そうに見つめるA。
はっとするように視線をAに戻し、
中原はぎこち無く口角を上げた。
「……ラッキーガール、か」
そう云って珈琲の入った洋杯を手に取る。
冷えた手に、温かさが戻ってきた。
「手前が大丈夫って云うなら、それ以上何も云わねェ。
だが、今回のことは俺の失態だ。
…だから、」
じっ、とAを見つめる中原。
蒼い瞳は揺らがない。
「________次は必ず、手前を守る」
トクン、とAの心臓が跳ねた。
真剣そのものの彼の瞳に射抜かれてるのが、
急に恥ずかしくなってくる。
パッと中原から目を逸らし、
コクコクとAは頷いた。
『あ、ありがとうございます…？
でも、私よりも先に自分を守って下さいねっ！？』
何となくその場から疾く居なくなりたいAは、
珈琲を飲み干してソファを立つ。
『では！』
そう云って部屋を出た。
…中原が淋しそうな顔をしてたなんて知らずに。
扉に寄りかかりながらAは自分の胸に手を当てる。
鼓動が疾い。
心做しか、顔も熱い。
真っ直ぐ見つめられた蒼い瞳は、
その日のAの頭を離れなかったのだった。
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←蒼い眼差し��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 162人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花蓮(プロフ) - ｢戀蝶｣から愛読させて貰っています！文ストの小説の中で一番好きです!!!!更新頑張って下さい！これからも応援しています！ (2019年1月2日 16時) (
レス) id: ca285a2166 (このIDを非表示/違反報告)
林檎@諸事情につき低浮上(プロフ) - つ、続きをどうか... (2018年7月21日 23時) (レス) id: 4706140a44 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - くるみさん» コメントありがとうございます。オチについてはもう既に決まっています。どうなるのか此処で云うことは出来ませんが、最後まで読んで頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願い致します！ (2018年5月27日 17時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - 銀ちゃんの辛さもすごくわかります。立原の恋も応援したいですが中也の恋も応援したいです！でも私は中也おしなので中也オチでおねがいしますね！！（もちろん立原もおしキャラですけどね！！） (2018年5月23日 6時) (レス) id: 31ba52f844 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - shinox2さん» コメントありがとうございます。立原くんの活躍する小説が少ないなと思ったこともあり、メインのうちの一人とさせて頂きました。ご期待に添えるように頑張ります！ (2018年5月22日 0時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花翠 | 作成日時：2018年5月21日 12時
