【ωrωrd！】なりたい。【軍パロ】 (ページ41)

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84．良いと悪いページ41

「負けたら勝った奴に自分の夕飯のおかずを譲る！でどうや？！」

「おうええで！！やってやんよ！！」

訓練館…だったかな。
建物の中からそんな会話が鮮明に聞こえてくる。
声の正体はなんとなく分かっていた。

シッマとシャオロンだ。

元気だなぁ。
確かここはゾムと手合わせしたところだっけ。
普通に負けたけど。

あれからかなり経ったんだなぁと思うと懐かしくなり、なるべく音を立てないように訓練館の少し大きめの扉を開ける。

中では木刀を交えている二人の姿があった。

ｶｧﾝ!!ｶﾝｯ!!

木と木がぶつかる音が館内に響く。
二人は私の姿に気がついていないようだった。

コ「今日のおかずは唐揚げやってｯ！！」

シ「はっ、ぜってぇ負けらんねぇなｯ…！！」

笑顔で会話をしている姿は、ただの遊びなんだと教えてくれる。

この戦いを楽しんでいる。

負ければ悔しいけど、それは自分の実力が相手より劣ったから。
勝てば嬉しいけど、喜ぶより先に相手の良かったところを評価し、悪かったところを伝える。
そして自分が次負けないようにまた努力する。

仲間だから出来る。友達だから出来る。

この国は、良いところだな。
私の世界とは大違い。

…いや、きっとこの国にだって見えないところに悪いところがある。
私の世界だって見ていた所は悪い所だったけど、私が見えなかった所は良い所だったのかも。

だったら私は”良いところ”には行けない。
行けたとしてもそこが良いところで悪いところなのかの区別がつくかどうか。
他人にとっての良いと悪いは分かるのになぁ。

ﾋｭﾙﾋｭﾙﾋｭﾙ

何かが空気を切る音がする。
それは段々と大きくなっていく。
上？

目線を上に向けると、そこには回転しながらかなりの速さで落ちてくる木刀が。
多分どちらかが弾き飛ばした木刀だろう。

と呑気に考えている私に二人は叫ぶ。

コ「？！A避けろｯ！！！」

シ「危ねぇｯ！！！」

避けろって言われても、多分もう遅い。
大人しく喰らった方が。
どうせ痛みなんて分かんないし。

スローモーションで見える木刀を最後に、目を瞑る。
打撲の痕くらいは出来るかな。