63．罪悪感 ページ20
ロ「…お前、裏切り者のくせして調子のんなよ。」
貴「すみません。ここに地形を理解してないもので。私の事をまだ信じているお人好しなオスマンに道案内を頼んだんです。」
ロ「…今後オスマンに近づくな。」
貴「ん〜そうですねぇ。まぁ気が向いたら。」
ロ「行くでオスマン。」
オ「あ〜先行っといて。俺ちょっと買い忘れた物があるから。」
ロ「…分かった。」
ロボロさんは走って帰っていく。
それと同時に人だかりから小さな話し声が聞こえてくる。
さっきの会話のことだ。
そして確信になると、私を敵視する。
人を傷つけた奴はこんな眼で見られるのか。
「オスマンって…あのオスマン外交官じゃないか？」
「え、まじで？じゃあさっきの話、オスマン外交官も関わってるんじゃ…」
あぁ、オスマンは関係ない。
彼を巻き込まないでくれ。
…いや、
私が巻き込んだんだ。
貴「オスマン行くよ。」
オ「…おん。」
今度は私が手を引いて、その場を離れた。
＊
オ「…なぁAちゃん。」
貴「なに？」
オ「なんで…悪になりたがるん？」
貴「…元は誰かに死ねって言われたかった。でも今は、彼に、彼らに罪悪感を持たせたくない。彼らの考えは間違いじゃないことにしたい。…苦しませなくない。」
私のように。
佐織が居なくなったのは私のせいだと、後悔し続けている私のように。
私を裏切り者扱いしたという罪悪感を背負わせたくない。
彼らは悪くない。
だって仕方がないから。
貴「リナは裏でなんとかする。もう居場所なんてどうでもいい。生きてれば良い。神は城で生きろとは言ってないから。」
そうすればリナが居なくなったのは私が怖いからと周りは思ってくれるだろう。
居場所はなくなる。
その時はどこか遠くへ行こう。
オ「…俺は、君を悪にしたない。でも、リナが悪って証拠は俺にしか分からんもの。やから…。」
貴「良いって。そろそろ帰ろ？ご飯も食べたし。」
オ「…せやな。」
その気持ちだけで良いから。
その気持ちが貰えるだけで、私は佐織より幸せだから。
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