45．個人 ページ2
ゾ「ほんまないわ〜普通天井に板張り付けるか？お？」
貴「うん。」
ゾ「なんや〜そんな俺に来てほしくなかったん？」
貴「ゾムなら知ってるでしょ。」
ゾ「知っとるからこそ行くんですぅ！」
貴「へぇ〜」
ゾ「余所見すなっ！」
只今私の部屋で私が正座をして、なぜかゾムに説教を受けている。
なぜ私が正座をして説教を受けているのか未だに謎なのだが。
ここって私の部屋だよね。
まぁいいか。
ゾ「それに、」
ずっと右から左へ流れていたゾムの声がそこで途切れる。
すると左腕を捕まれて上にあげられた。
丁度手首に当たって痛い？
多分痛い。
ゾ「…リスカ、したやろ。」
貴「うん。」
ゾ「うんってお前…。」
だってしたのは事実だし。
嘘吐く必要は無いから。
ゾ「…あとちゃんと手当てせんかったやろ。」
貴「うん。」
ゾ「はぁ…傷口膿んだらどうすんねん」
意外と心配性なゾムは、自分のズボンのポケットからハンカチを取り出すと、私の腕に巻く。
ずっと服に擦れていて痛かった？ので助かった。
傷も見えないし。
ゾ「…もうすんなや。」
貴「分かった。」
ゾ「…」
ゾムが駄目と言うなら私はしない。
誰かに良いと言われるまで。
自我が保てているまで。
勢いでやってしまったときは謝ろう。
ゾ「…ほんま、ロボットみたいやな。」
貴「うん。よく言われる。」
ゾ「辛くないん？」
分からない。
辛いのか辛くないのかが分からない。
辛いが分からない。
だからなんとも思わない。
「…なにやってんお前ら。」
ゾ「説教。」
貴「分からない。」
ゾ「おい。」
「相変わらずやな…。」
私の部屋にまた一人、人が増える。
グルさんだ。
大方仕事抜け出してきたんだろうけど。
だってナチュラルに扉閉めてる。
まぁ確かにトントンさんはここには来ないからね。
グ「で？なんで最近部屋に籠っとんたんか、俺を無視したか、理由をお聞かせ願いたい。」
貴「願うじゃなくて言えじゃん。嫌だって言ったら？」
グ「…何がええかな。あ、もう教えたらん。」
教えたらんというのは感情と愛の事だろう。
それは困る。でも、言えない。
今更ながら喋るなと言われたことを思い出したからだ。
喋れない。
貴「…」
グ「…駄目か。」
ゾ「かたくなやなぁ。」
グ「ま、そう焦らんでもええか。お前にはお前の自由がある。口出しする筋合いはない。」
言いたくなるまで待つ。
グルさんはそう言って、部屋を出ていった。
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