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私がグルッペンを拾ったのは、雪の降る日だった。学校から帰る道の途中、傘をさしていた私の狭い視界に彼が飛び込んできた。いきなり現れた彼に私は驚き傘を落とした。彼はその音に気付いたのか私の方をゆっくり見ると安心したように微かに笑った。
彼は、幼い私でも分かるほどひどい格好をしていた。雪が降るほど寒いのに来ているのは明らかにサイズの合ってない大きなシャツ一枚。当然の如く裸足で地面に立っていて赤くなっていた。シャツから出ている細い手足に首。そして顔には殴られた後があった。
彼の姿をなめまわすように見た私の彼の目が合う。そこで初めて彼の目が紅い事、金色の髪に気付いた。落とした傘をそのままに私は彼に近づき、肩と頭に乗った雪を払ってあげた。そして話しかける。
「…なまえは？」
「……」
彼は何も言わなかった。ただ一枚の紙を見せてくるだけ。私は風に揺れて読みづらいその髪を受け取り目を通す。雑に書かれた文字は、彼の名前と…
「グル、ッペン？」
こくりと頷くグルッペン。弱弱しい彼に加護欲をそそられ、受け取った紙をコートのポケットに仕舞い、彼に耳宛てと手袋、マフラーを付けた。無理やり手を繋ぎペースを落として家の方へと歩く。くしゅんと彼がくしゃみをした。半歩ほど後ろにいる彼を勢いよく振り返るとさっきよりも赤い脚。慌てて靴を脱ぎは変えようとするとそこで彼が初めて拒否を示した。
大丈夫だと頭を人撫でし履かせ靴下で私は雪の上を歩く。
五分ほどで家に着くと私はカバンを乱暴に玄関に投げ置き洗面所からタオルを取りグルッペンの元へと戻る。彼は居心地が悪そうに佇んでいたが私を見ると顔を輝かせて笑ってくれた。
それが嬉しくて彼を抱きしめるように体を拭く。
「お嬢様おかえりなさい…ま…」
「ただいまメアリー」
グルッペンを座らせ拭きながら奥から出てきた家政婦のメアリーに言葉を返す。不自然に途切れた言葉に襲いながらも気づきメアリーを見ると顔に手をあて言葉を失っていた。
「…メアリー？」
「あ、申し訳ありませんお嬢様…あ、あのその子は…？」
狼狽えるメアリーに、私はにんまりと笑ってグルッペンを胸に引き寄せた。
「今日から私の弟になるの！グルッペンっていうらしいから仲良くしてあげてね」
私のその言葉にメアリーは叫び声をあげて二階へと続く階段に走って行った。
叫び声に体を千ぢ駒せたグルッペンをぎゅっと抱きしめる。
「貴方は何も心配しなくていいからね」
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作者名：むぎ | 作成日時：2017年8月13日 22時
